2013年4月分
一度地植えにすれば枯れることはほとんどないくらい、ラン科の中では丈夫なシランの花が咲きました。
一つの花は短命なのですが、次々と咲いてしばらく楽しませてくれます。
紫赤色の濃淡を織り交ぜた花弁と唇弁のひだが美しい花です。
・ 2013.4.22 「スノーダンサー」のできるまで
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2013.4.22 「スノーダンサー」のできるまで
今回は花咲Jが作ったランの品種「スノーダンサー」について、少し詳しくご紹介します。
花咲Jは平成元年から約5年間ほど、当時趣味者の間で流行していたランの無菌播種を行いました。
花咲Jは当時洋ランに対する興味がそれほど強くなかったのですが、富貴蘭を使った無菌播種を行うとともに以下にご紹介する偶然手に入れた洋ラン交配種の花粉を富貴蘭との交配に使いました。
その結果生まれたのが、このスノーダンサーなのですが、交配は約25年前の1回のみで苗はフラスコ数本だったと思います。
株としての販売は今までしたことがなく、3年前に一度、切り花を売店向けに出したことがありますが、香りが強いためかお客様から品種名を尋ねられたりして好評でありました。
本品種の良い点は、フウランと違って春に咲き、昼間から匂う花の強い香りと、花持ち、花付きの良さにあります。
交配親は受粉親木(母木)が富貴蘭ですが記録が残っておらず、富貴蘭のどの品種か不明です。
当時はサラリーマンの本業があり、現在のように「園芸楽」としてインターネットで発信して販売することは想定していなかったので、交配した結果、自分の気に入ったランができてくれれば満足という考えでした。
花粉親木(父木)となったのは、花咲Jが30年くらい前に度々出入りさせてもらっていた当時は日本有数の富貴蘭を保有販売する園芸業者(A氏とさせてもらいます。)の棚にあったフラスコ出し間もない実生ランの苗でした。
この実生ランは幅広く富貴蘭を取り扱っていたA氏が、横浜市でお亡くなりになった方(趣味でランを愛倍されていた方と聞いており、面識はありませんがB氏とさせてもらいます。)が交配実生したものを一括で買い取ったと言っておりました。
B氏が無菌播種したのは、A氏の所に渡る3,4年前と考えられますから、ランの無菌播種についてはかなり先進的な方だったと思います。
A氏の棚の一角にこの交配実生ランが風蘭鉢に数十本ずつ寄せ植えにして数十鉢置いてあり、花咲JがA氏から一括で購入しました。
その時、鉢に名札は添えられてなく、B氏が記録した手書きの交配メモがあるのみでした。
その交配リストは富貴蘭の銘品同士の交配がほとんどで、富貴蘭×バンダ8交配のほかに、富貴蘭×リンコスティリス・セレスティス・アルバ4交配と富貴蘭×リンコスティリス・ギガンティア・レッド2交配が記載されていました。
苗の大きさはフウランが親指の頭くらい、バンダ、リンコスティリスの交配種がそれより一回りか二回り大きいという大きさでした。
フウラン×リンコスティリス・セレスティスの交配種は、「ルースネアリー」という品種で知られており、セレスティスが夏から秋咲きのため、ルースネアリーも秋に咲きます。
当園にもこの実生苗から育ったルースネアリーと同系列のものがごく少数ありますが、花は有香でスノーダンサーより一回り小さな花です。
ギガンティア・レッドは冬咲きのため、富貴蘭×ギガンティア・レッドは両親の中間の3〜4月に咲き、スノーダンサーも同様です。
ギガンティア・レッドは花全体が濃い紫赤色ですが、B氏が行った交配種の花は、ギガンティアの普通花の桃紫色の紋様が薄くなったような花で、花は別掲写真のように肉厚の白色花弁に薄い桃紫色の紋様が入っています。
ギガンティア・レッドはギガンティアの野生種の中から選別された濃色花と聞いておりますが、赤色の強い花とならないことから白色系色素の優性遺伝子による結果、フウランの優性色の白色と相まってスノーダンサーが白色花となった可能性があります。
富貴蘭×バンダの交配種も耐寒性があって毎年咲いており、この交配種は花が大きくて良いのですが、ほとんどの株に香りはありません。
当園の無加温(2012-13年の冬はストーブ点火0日で、最低温度1,2℃)と言える温室では原種バンダの花は咲かず、原種のギガンティア・レッドも今から4年前に購入し、2回咲いてくれたものの、去年はつぼみができたのみで開花しませんでした。
東南アジア等に自生するランは、やはり最低温度10〜15℃が必要と思います。
その点、2回に渡りフウランと交配を重ねたスノーダンサーは耐寒性があり、特に10年以上前にヘゴ着けにしたものは元気に育って毎年1条に2花茎(まれに3花茎)の花を咲かせてくれます。
水苔植えは生長が早いのですが、長年植え替えを怠ると下葉をふるいます。
ヘゴ着けはそういうことが少ないのですが、10年間経っても株はさほど大きくならず成長が抑制されるようです。
交配による葉の変化を見ますと、第1代目(F1)の交配種では原種ギガンティア・レッドとあまり変わらないくらいの大きさがあり、V字状の葉の片面の高さがかなりあります。
V字となる葉の片面の高さは、当園にある原種ギガンティア・レッドが16mm(長さ最大20cm)、1代目交配種が12.5mm(長さ最大22cm)、2代目の戻し交配種スノーダンサーが10mm(長さ概ね19cm)と代を重ねるごとに幅も長さも小さくなっています。
図鑑によりますと原種ギガンティアの葉はさらに大きいと記載されています。
当園では今までスノーダンサーのつぼみが上がると全て摘み取っていました。
その理由は株の体力保持と花の匂いに引き寄せられるのか害虫が発生すること、花がらの処理が手間取ることなどです。
ヘゴ着けスノーダンサーは水苔植えより1,2週間遅く開花します。
今年から少量あるヘゴ着けスノーダンサーを販売するようにしました。
スノーダンサーという名前は、白い花が多く付くことから雪の精が舞うごとくという意味で名付けました。
スノーダンサーの花です。
肉厚の白色花で花の大きさは幅約3cm、縦約3.5cmとフウランより大型となります。
フウランは主に夕方から香りますが、本種は昼間も香りが強く、花持ちも良い品種です。
水苔が腐朽するまで放置し、下葉をふるったスノーダンサーをバーク・ヤシガラ・軽石混合用土植えにした株です。
この植え込み材は通気性が良いため、こういう株も復活することがあります。
花付きは小株のときから良い品種です。
原種のギガンティア・レッドです。
4年前に購入した株ですが、2年目から2年間開花した後に樹勢が衰え、花が咲かなくなって根も大半が枯れました。
去年、水苔植えをバーク等の混合用土に変更して回復を待っているところです。
樹勢も弱り、自生地の親株に比較すれば相当小さな株姿だと思います。
B氏の行った第1代目(F1)の富貴蘭×ギガンティア・レッド交配種です。
この株の花芽は小さなうちに摘み取ってしまいました。
この交配種は耐寒性もあります。
これもそろそろ植え替えないと・・・。
B氏の行った第1代目、富貴蘭×ギガンティア・レッド交配種の花です。
赤色色素は少なく、原種ギガンティア普通種よりも薄い色の紋様が入ります。
花咲Jが22,3年前に、サラリーマン時代の同僚からいただいたバンダです。
その時も花はなく、株は2本(写真左側が親株)に増えたのですが、最初から一度も咲いてくれません。
当園の、温室とは名ばかりの1,2℃まで下がるフレーム内では寒すぎて生きていくのがやっとという状態でしょうか。
上写真の拡大ですが、網かごにマグアンプKを入れておくと、バンダに限らずランの根が網かごの中に伸びていきます。気付かずにいると、根が太って固まってしまい外すのが困難になります。
マグアンプKは緩効性肥料として問題はないのですが、欲深Jは去年、格安の緩効性肥料を使って大失敗をしました。
普段無肥料でもいいなどと吹聴していますが、そういう人が失敗しますから要注意です。
やっとのことで花が終わったと言えるミニカトレアヘゴ着けです。
今回は記録を取ったのですが、1月13日の第1花から4月21日まで98日間咲き続けてくれて、その頑張りに感謝です。
地味な花のエピデンドルム属ポリブルボンです。
地味で小さな花ゆえ、いつ咲き出したのか分かりませんでした。
人に伝えるためには記録が重要なことが良く分かりました。
北米原産シバザクラの青花と赤花です。
日当たりを好むようですが、これは車庫北面の外壁沿いに地植えしたもので20年近くになります。
1年中ほとんど日陰でも育ってくれて、グランドカバーとしてもお勧めです。
小石を敷き詰めた地面に植えてあり、ロックガーデンのようにわずかな土で乾燥を好むようです。
シバザクラは草姿も芝生と同様にあまり大きくならず、小葉のため夏も目障りとなりません。
各地の広大な土地に植えられていますが、害虫も付かず管理が楽なことから納得です。
ヘゴ着けランを多くの方々に楽しんでいただけるように、今月からヘゴ着けキットを販売品コーナーに掲載しましたので興味がありましたらご覧ください。
ヘゴ材をインドネシアから輸入している会社によりますと、ヘゴが数年前に絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)に該当することとなり、輸入許可が必要になった後、最近はインドネシア政府の輸出許可が下りず、輸入が滞っているとのことです。
今回は輸入会社に残っていた在庫を確保できましたが、将来どうなるか不明です。