2014年3月分
3月15日、斑入りアセビが満開となりました。
まだ真冬並みの寒波が時に訪れる季節ですが、寒風を避けられる場所に植えてある斑入りアセビは早々に満開となりました。
・ 2014.3.21 ヘゴ着け修整作業
戻る
トップへ
販売品コーナーへ
購入のご案内へ
送料のご案内へ
お問い合わせへ
レポートコーナーへ
2014.3.21 ヘゴ着け修整作業
植物も冬の間、ひたすらにじっと耐えながら新芽や花芽を少しずつ膨らませており、春がそこまで来ているという今日この頃です。
この準備あってこそ春の一斉開花と芽吹きにつながることでしょう。
一方花咲Jといえば、毎度のことながらいつも準備は遅れがち、その時が来てあわてるという繰り返しの日々です。
1月からランの植え替え作業に入り、ヘゴ着けの作製もその合間にやっています。
ヘゴ着けはしっかりと活着してしまえば、その後の管理は手間いらずですが、活着がうまくいかなかったり、姿形が整わなかったりするものがでてきます。
活着が不十分なものはランの固定のし直し等を行います。
一番問題なのは、すでに充分活着しているヘゴ着けランの姿形を修整することで、例えばランの成長によりヘゴが小さ過ぎる状態になったものがあります。
成長によりランがヘゴからはみ出してしまったものは、ランの取り外しが比較的容易にできます。
今までは十分に活着しているランをヘゴから取り外すことは困難だと思ってやりませんでした。
今回、ヘゴに着けてから10年前後経ったスノーダンサーのヘゴが、ランに比較してあまりに小さ過ぎる状態を見かねて、昨年行った大きなヘゴを背後に抱き合わせるやり方をやめて、ヘゴ材の交換作業を行いました。
実際にやってみると、意外に容易に行えましたので、その作業の工程をご紹介します。
当園のヘゴ着けランをご購入いただいたお客様や、ヘゴ着けランに関心のある方々のご参考になればと思います。
始めに今日から開幕した「浜名湖花博2014」のご紹介をいたします。
静岡県浜松市において2004年に開催された浜名湖花博10周年記念事業として、今日(3月21日)から「浜名湖花博2014」として浜松市フラワーパークにて開幕しました。
会場は2004年の浜名湖ガーデンパークと2会場での開催となります。
ガーデンパークの会場は4月5日から開催となっています。
フラワーパークを早く開幕したのは、50万球のチューリップと1,300本の桜の開花に合わせたとのことです。
開幕は2会場で異なりますが、いずれも6月15日までの開催となっています。
ご案内はできませんが、浜名湖方面へお出かけの際には、ぜひ会場へお立ち寄りください。
植え替えに忙殺されている花咲Jも一度は行ってみたいと思っています。
それでは始めにフウランのヘゴ着け修整作業からご紹介いたします。
約10年前にヘゴ着けしたフウランですが、取り付け時に株元をヘゴに押し付けるのが不十分だったか、下葉が枯れ上がったために株の下に空間ができて浮き上がった状態になっています。
この状態では株元の空間があるので、より乾きやすくなります。このままでも生育に支障ありませんが、水やりは他の株と同じサイクルであることと、姿形の修整を兼ねて固定のやり直しを行います。
この株は浮いている株元を再度ヘゴに近づけるように押さえて固定しました。
株元の根は折れるものもありますが、休眠期の作業であれば大きなダメージとはなりません。
これも10年前後経過したヘゴ着けランですが、管理が不十分で上記のものと同様になっています。
こちらは固定のやり直しでは配置も良くないため、活着したランを取り外してヘゴの交換作業を行いました。
後記のとおり、2月にスノーダンサーを取り外してみたので何とかできるだろうと思いました。
フウランの根は細いため、ヘゴの維管束(ヘゴの茎の中を縦に通る水養分を運ぶ細いパイプの束の部分)が密でなく粗であると、根は維管束の中へ潜っていくものがあります。
根がヘゴ材の中に潜り込んでいる状態からは取り外しが困難に見えますが、逆にヘゴの維管束が粗なものはヘゴ材が柔らかいため、維管束を割ったりしてほぐし開くのは容易といえます。
ヘゴ側面の状況です。
剥がす前のヘゴ裏側の状況です。
古くなって枯れた根もそのままの状態です。
木部(ヘゴ材の中心部にある非常に硬い部分で、縦に延びる波状のしわのように重なっています。)は縦方向へは簡単に割れます。
この面に張り付いた根は、食器ナイフを使えば傷つけずに容易に剥がせます。
ヘゴ裏側の木部を矢床(ヤットコと呼ぶ挟むだけの工具です。)で挟んでひねり、少しずつ割りながら外します。
木部が重なった内部にも張り付いている根があるので、食器ナイフで剥がします。
1本の根も切らないように慎重に進めたつもりですが、知らない間に1本が切れていました。
表面の維管束部分に潜り込んだ根を掘り出します。
このヘゴは維管束のパイプの重なりが割合に緻密でないため、比較的柔らかくてニッパーで噛み切ることが可能です。
根の潜入した位置に対して離れた部分から少しずつ噛み切って根を取り出します。
こちらの潜入部分はマイナスドライバーの先を差し込み、ひねることによって維管束を剥がしていきます。
ニッパーで噛み切るのは握力も必要でしたが、このやり方の方が容易に行えました。
マイナスドライバーを使って取り外した状態です。
ヘゴ材個々の材質の相違(粗密度等)により異なりますが、維管束部分に潜入した根はヘゴ材の端部では貫通するものもあります。
端部でない所で潜り込んだ根は、およそ1〜3cmの深さで先端が止まっています。
取り外した後のヘゴ材です。
木工ヤスリ等で整形すればまだ使用可能です。
細い枝のように見えるのがパイプになっている維管束です。
取り外した後のヘゴ材とフウランです。
フウランは花がらと枯れた根を整理してあります。
フウランは1株だったものですが、基部の茎が枯れ上がっていたため切り離しました。
作業開始から途中で写真を撮りながらの作業となりましたが、ここまで28分間の時間がかかりました。
ヘゴを交換して付け替えました。
ヘゴを取り外してから着け替え終了までの作業は12分間の時間がかかりました。
以下の写真は、2月に行ったヘゴ着けスノーダンサーのヘゴ交換作業の様子です。
ヘゴに着けてから10年以上が経ち、株が大きくなってヘゴがかなり窮屈そうです。
使用した道具です。
食器ナイフはランの植え替えにも使っていますが、鉢から根を剥がすとき等に重宝します。
ナイフの刃は、ある程度丸くなっているものでないと根を傷つけます。
ペーパーナイフでもいいと思います。
フウランの作業でも使った矢床とニッパーで薄い板状になっている木部を少しずつ割って取り除きます。
木部や陶器、プラスチック等の硬い平面に張り付いた根は、この時季であればナイフで容易に剥がせます。
写真は木部を細かく割って取り外した後の状況です。
ヘゴ材からランを剥がした状況です。
ヘゴ材の維管束は緻密な方だったため、維管束層の中に潜り込んでいる根はほとんどありませんでした。
スノーダンサーの根は太いため維管束の層の中にはあまり潜入しません。
ヘゴを交換した写真です。
ランの株元等に水苔を挟む方が活着まで安全かも知れませんが、活着後はない方がよいと思い、始めから使用しません。
この株のように元々ヘゴ着けだったランは問題ありませんが、新たに初めてヘゴ着けする予定のランは、その前から乾燥に耐えるような作り方をしておくと活着がよりスムーズにいくと思います。
この株も2月にヘゴ交換したスノーダンサーで、ヘゴ材が相対的に小さ過ぎるのと、実生と思いますがノキシノブ(若干の変わり葉です。)が茂り過ぎてしまいました。
水やりは他の株と同じサイクルなので、時折ノキシノブがしおれているのを見かけ、何とかしなくてはと気になっていました。
この小さなヘゴにランの株と、それ以上に茂ったノキシノブでは、かん水の水分も互いに取り合って短時間でなくなりそうです。
ヘゴの裏側の状況です。
ノキシノブの根は維管束部分に繁茂し、木部表面には伸びていません。
ヘゴの上端の様子です。
維管束部分の表面はノキシノブの根で覆われ、苔が生えています。
木部を剥がすと、その隙間にはランの根とノキシノブの根が入り込んでいます。
維管束と木部の境界にある厚さ1mm程度の薄い膜のような板の一部を割り取ったところです。
木部に張り付いているランの根をナイフで剥がすところです。
片刃より両刃のナイフが適し、平面へ張り付いた根は容易に剥がすことができます。
木部部分の根を剥がした状況です。
維管束と木部の境界にある薄い板を剥がした状況です。
この薄い板には維管束部分が密着しているのですが、そのほんのわずかな隙間にもランの根が入り込んでいます。
維管束の層は割合に柔らかく、ほとんどナイフのみでランとノキシノブの本体を剥がすことができました。
ヘゴ材から分離したスノーダンサーとノキシノブです。
ノキシノブの根は、かなり広範囲に伸びているため、株元付近を残して過半の根を切断して取り外しました。
スノーダンサーを交換したヘゴに着けた写真です。
取り外したノキシノブの一部はまた元のヘゴ材に着けました。
この小さなヘゴにスノーダンサーとノキシノブの両方が着いていたのではかなり窮屈です。
こちらはビニールひもで固定して完成です。
ヘゴの交換作業もやってみると意外に容易にできました。
ヘゴを扱う作業を行うには、安全のために薄手の作業用ゴム手袋をはめて、取り外しの際には膝まで届くエプロンのようなものを着て、時には腿の上で作業すると株を傷めずにできます。