2016年4月分
左写真はフウラン×アスコセントラム交配種のヘゴ着けです。
花付き、花持ちともに良く、フレーム内を早春に相応しい花色で彩ってくれます。
右写真は自宅の物干し台に絡めたカロライナジャスミンの八重咲き種です。
鼻を花にくっつけてやっと匂う程度の香りですが、花はふっくらとして黄色が鮮やかです。
ハーブのジャスミンとは異なり、有毒成
分を持つということです。
花のない時も皮質の常緑葉が見られる
つる性植物です。
・ 2016.4.15 庭木着けフウラン・富貴蘭
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2016.4.15 庭木着けフウラン・富貴蘭
早や4月、春本番の真っ最中となりました。
今年は暖冬によって桜の開花も早まるだろうと予想していましたが、ぶり返した寒気のせいか予想より遅くなり、桜前線もあっという間に通り過ぎていきました。
4月ともなれば色々な植物の花が咲き、芽ぶきとともに園芸作業も本格的なシーズンとなります。
園芸作業の準備をして、やっと時期が来たと思う人もいれば、準備が整わずにもう時期が来てしまったと感じる人もいます。
ちなみに花咲Jは常に後者の部類です。
ランの植え替え作業は相当進んでいて当然なのですが、置き場所となる棚を作りながらの作業となり、思うほどに進まなかった状況です。
ランの一つ一つを見るたびに、そのランにしてやりたい作業は頭に浮かぶのですが、後回しになることがほとんどです。
今年はフウラン・富貴蘭を庭木に着けたいと思っていました。
本当は自らが庭木に着けた結果を見て、ほかの方に勧めるべきですが、ヘゴ着けと同様に活着の結果が分かるまで年月がかかり、それまで待っていられません。
やむを得ず15年以上前に自宅の柿の木に着けたラン
(花だより12月分掲載)
の状況と、15年ほど前からヘゴ着けランを作ってきた経験を基にして、昨年から地元売店に庭木着けフウランの作り方パンフレットを置き、お客様にPRしています。
お客様のご自宅等にある庭木も様々な樹種、樹形でありますし、その土地の自然条件も様々です。
このため当宅にある庭木に着ける条件も、ランにとって厳しい条件のものを使って活着するかどうか試すことにしました。
そう言うともっともらしい理由に聞こえますが、実のところ当宅にある庭木着けに適した樹木は柿の木1本があるのみです。
今回、選抜で庭木に着けられるランにとっては気の毒ですが、厳しい条件に耐えて頑張ってもらおうと思っています。
柿の木は少々大きいために着けられる場所はまだありますが、今回はやめて、自宅の南面に植えてある棒カシ・シデコブシ等の細幹に着けることにしました。
南面は陽当たりが良いため、それぞれの樹種に合いそうな富貴蘭等を選定してみました。
常緑樹の棒カシには弱い採光が向く富貴蘭の青物で淀ノ海・青玉竜を着け、落葉樹のシデコブシ・モミジには強い採光に向く御城覆輪・桃姫実生とし、家と家の隙間に植えてあるヒメシャラには中間的採光の朝日殿としました。
ヒメシャラはサルスベリのようなツルツルした樹皮が特徴で、さらに若木では表面の薄い樹皮が剥けてはがれるという着生ランにとって最悪の条件です。
自宅と離れた場所の温室敷地内に植えてあるクロマツ・ウメ・ツバキでも試すことにしました。
クロマツの樹皮は剥がれ落ちるというよりも、薄い樹皮が厚く重なる層となり、ランの根が水分を含む木質部に届きにくいため、Jの偏見による独断では不向きと考えています。
しかし、以前沖縄の方がマツにフウランを着けていると聞いたこともあり、あえて試すことにしました。
庭木着けはヘゴ着けよりもさらにランの自生状態に近い栽培と言えます。
着生ランが自生している姿を見せるのは、その樹木の幹・枝部分で発芽ができるかどうかで自生が決まります。
風で運ばれたランの種子が付着していられるかどうか、また発芽に必要なラン菌の存在があるかどうか、適度な日照・湿度であるか等の条件で、その位置で発芽することが可能となり、自生の可否が決まります。
ランの種子は1さやに数万粒の種子を風に乗せて飛ばしますが、めったに自生が見られないということは、上記の条件に合った樹木がいかに稀であるかということだと思います。
また、、1さや数万粒と言えども、広大な自然環境の中での密度は希薄であり、地面に落下すれば発芽の可能性が閉ざされます。
人工的な庭木着けでは成株を着けるため、それらの条件を無視することになりますが、果たしてランにどのくらいの対応能力があるものか試してみなければ分かりません。
建物外壁の西側に植えてあるモミジに着けた桃姫実生です。
高さは地上約92cm、幹の太さ38mmです。
モミジの新葉が展開し、丁度良いくらいの遮光となっています。
ヘゴに着ける時には、今まで古根を誘引することはありませんでしたが、厳しい条件ゆえに、古根は少しでも乾燥を遅らせられるように幹に沿わせてタコ糸(木綿糸・直径1.5mm)で縛りました。
古根の先端からも新根が伸び出すことが多いので、それを意識して縛りました。
木綿糸は水に濡れて水分を保つ点で活着を補助するかと思いますが、新根が幹に沿って伸びていく際、支障なく乗り越えられるか分かりません。
上の写真より少し高い位置に枝が枯れた凹みがあったので、その部分に着けてみました。
品種は桃姫実生です。
高さは地上約135cm、幹の太さ23mmです。
4年前にヒヨドリが巣を作った位置よりすぐ上の幹です。
シデコブシの細幹に着けた御城覆輪です。
高さは地上約120cm、幹の太さ27mmです。
シデコブシの樹高が約180cmで、小さな木の場合は目の高さに丁度良い部分がなくて着けられず、枝ぶり等で着ける位置を決めることになります。
シデコブシの晩秋から春までの落葉時には陽を遮るものがなく、直射日光を終日受けます。
さらに幹の太さが3cm以下という細幹で、かなり厳しい条件となります。
玄関出入り口横にある花壇に植えた棒カシ2箇所に淀ノ海を着けました。
高さは地上約140cm、幹の太さ48mmと地上約153cm、幹の太さ49mmです。
棒カシは常緑樹ですが、棒のように伸びた幹を一般的に定形とするため、枝は常に短く剪定されます。
胴吹きの萌芽は抜群に良いため、枝は幹際で切っても切ってもあらゆるところから発芽します。
日陰を好むフウランのために枝葉を調整するのが容易な樹種です。
ただし、当宅の棒カシは毎年のように殺虫剤を散布してもカイガラムシが多量に発生し、害虫と殺虫剤の影響がどうなるか心配です。
すでにカイガラムシがかたまって着いていました。
上写真の下方、別幹に着けた淀ノ海です。
高さは地上約117cm、幹の太さ34mmです。
下葉の落ちた株ですが、ヘゴ等に着けるには向いているような気がします。
淀ノ海の西側に植えてある棒カシ2箇所に着けた青玉竜です。
高さは地上約130cm、幹の太さ51mmと地上約145cm、幹の太さ50mmです。
家と家の隙間に植えてあるヒメシャラの幹の様子です。
薄皮が盛んに剥けるため、着生ランには最も適さない樹種と言えます。
タワシで浮いた薄皮を払い落とし、滑り落ちないように幹が二股に分かれた位置に若干徒長気味の朝日殿を着けました。
高い所で葉が茂っており、外壁と外壁の間にあるため、日照はかなり少ない場所です。
勝手な希望と言えますが、根が幹に張り付くよりも、幹を巻いた根と根が握手するように張り付くようになってくれれば、おそらく活着すると思います。
ヘゴ着けランでは時々、寄り添った2本の根が張り付いているものが見られます。
高さは地上約165cm、幹の太さ36mmです。
上写真の下方にも朝日殿を着けました。
高さは地上約115cm、幹の太さ34mmです。
写真左方へ出ている枝は幹際から枯れており、2年ほど前からヘゴ着けフウランを吊るしています。
年中屋外の雨ざらしでどのようになるかを観察していますが、元気に生長しています。
今回掲載した庭木着けは実験的なもので、他の方にお勧めできるやり方ではありません。
上記の何点かは枯れる可能性もありますが、結果に至る途中経過も時々花だよりに掲載していきたいと思います。
ご自宅に庭木がなくても、ヘゴ等の着生材に着生ランを着けてみるのも一興かと思います。
フレーム内のフウラン・富貴蘭は新根が動き出しており、樹木の新葉も展開を始め出して遮光の役目を請け負ってくれる形となり、着生ランの庭木着け・ヘゴ着け等には最適な時期です。
こちらもフレーム内を彩ってくれるクンシラン斑入り種の花です。
無加温フレームでも室内などで育てているクンシランに比較して開花が早いようです。
他のクンシランも同様に満開の時期を過ぎつつあります。
花は大きくて豪華さがあり、花が終わった後も多層に重なる葉が観葉植物として楽しめます。
特に斑入り種は1枚の葉の面積が大きいために見ごたえがあります。
ウィキペディアによりますと、日本には明治時代に伝来し、古典園芸植物に分類されるとあります。
花の豪華さではひけをとらない牡丹が開花しました。
先日のテレビで牡丹の上に傘をさしてあるのは、雨から花を守るためとのことで納得しました。
花が全開になったその日の夜に雨が降り、一夜にして見るも無残な姿になった年のことを思い出しました。