2016年5月分
左写真はフラン×ナゴラン交配種のヘゴ着けです。
花はフウランより一回り大きく、芳香があります。
右写真はミディカトレアのヘゴ着けです。
ミディカトレアの中には暖かい日に香りを出すものもありますが、ほとんど出さずに終わるものが多いです。
・ 2016.5.30 野鳥天国
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2016.5.30 野鳥天国
今年は例年よりもやや早く、フウラン・富貴蘭の花が咲き出しました。
フウランは気の早いものが咲き始めたところですが、当園交配種の青玉竜で水苔植えのものは次々に開花を始めました。
以前は落ちた花がらによる汚れのほか、色々な理由から花芽を摘んでいたこともありましたが、地元売店へ草花等を委託販売するようになってからその余裕もなくなりました。
フウランの生長は他の植物に比較しても極めてゆっくりですが、開花時期前後の根の伸長、花芽が出てから開花までのスピードのある動きにはフウランの底力というか生命力の強さに感心させられます。
花は株姿に比較すればとてもバランスの良い大きさと形をしていても、洋ラン等に比べれば極めて小さく、地味と言えます。
しかし、花の香りは、他の香りを出す植物に全くひけをとらないのが、人を魅了してやまないところでしょうか。
花だより
2015年12月分
、
2016年4月分
に掲載していますが、当宅と温室のある借地に植えた庭木にフウラン・富貴蘭を着生させる実験を行っています。
その途中経過は後述いたしますが、温室敷地に花咲Jが植えた梅にもフウラン2株を着けてあります。
着けられた植物にとっては迷惑千万でいけにえのような半ば無謀な実験でもあり、着けた張本人にとっては日々その状態が気になるところです。
1日2日見なくても変化のあるはずもないのですが、自宅の庭木は玄関のすぐ横にあるため、つい出入りの都度、覗き込んでしまいます。
温室横の梅はこれも出入り口の横にあり、自宅から通う車を梅の木の横に停めるため、車から降りる都度、チラチラと観察しています。
フウランが新根を伸ばし、その新根が着生樹の樹皮にしっかり張り付き、株が木に密着して安定すると活着の状態になります。
活着したフウランは乾燥に対して非常に強くなりますが、活着に至る前は晴天が続くと4,5日に1回くらい水やりしています。
4月13日に梅の木にフウランを着けた際には全く気付かなかったのですが、5月14日に水やりをした際、ふと見上げるとランを着けた位置の約45cm上(地上約195cm)に鳥の巣がありました。
下から見上げた梅の木です。
二股に分かれた幹の位置にフウラン2株を着けてあり、その右上方に巣があります。
巣の材料の中に梱包用のビニールひも等が混じって使われており、飛び立った鳥はスズメのように見えました。
巣は北側にある温室の開かずの窓から約70cm、出入り口から約4m、停車位置の車から約3.5mの至近距離で、以前、自宅の窓から35cmの位置に巣作りしたヒヨドリといい、野鳥にしては大胆な行動です。
かつてのヒヨドリの巣は地上155cmの低所に巣作りして、ヒナをかえす前に近所の猫に襲われ、抱卵を放棄してしまいました。
借地の周りにも3〜4匹の猫を見かけるため、そういうことがないようにと梅の木の下部へ猫除けのバリアーを巻きつけました。
梅の木の下部部分です。
猫が木に登れないように下方にとげとげのバリアーを巻きました。
19日には卵が生んであるかどうか知りたく思い、それとなく近づいて親鳥を飛び立たせました。
それまでも最近は、巣の下方約2.5mに設置してある井戸ポンプの経年による不調のため、ポンプのカバーを外して度々点検するので、その都度、モズは巣から出ていきます。
近付いて飛び立っても視界から消えるのではなく、敷地沿いに張られている電線に止まって巣を見張っています。
電線に止まった親鳥です。
温室に来るのが昼頃で、西向きの出入り口から見るためいつも逆光になってしまいます。
親鳥が抱卵している様子です。
出入り口に立って撮影しても飛び去ることはありません。
時たま正面を向いていて、こちらと目が合ってしまいます。
頭と尾羽しか見えませんが、目が黒くてかわいい感じです。
巣の中を撮影するため、小脚立を使って覗き込みたいのですが、親鳥の見ている前では警戒して、もし、抱卵しなくなってはいけないと思い、遠くへ飛び去るのを待つことにしました。
しばらくすると電線から隣家の敷地へ舞い降りたため急いで巣の中を撮影したところ6個の卵がありました。
6個の卵がありましたが、産む前はかなり身体が重かっただろうと思います。
中は外回りと違って細い枯草が敷かれています。
シャッターを4,5回押した時、羽音もなく至近距離で「キッキッキッキッキーッ」という車のクラクションに近い音量で鳴き声がし、驚いて前を見ると目の前7〜80cmの所にある枝に親鳥が止まり、くちばしを最大限に開いて「やめろ、さわるな、近づくな」というような威嚇の声を上げていました。
あわてて脚立から降りて退散しましたが、ワシやタカのくちばしをミニチュアにしたような姿といい、その勇猛さに感心しました。
どう猛な形をしたくちばしです。
目の後ろへ伸びる模様が雄に比較して薄い色となっています。
インターネットで検索すると、モズは雌が抱卵するとあり、頭部の写真からも雌だと分かりました。
モズの習性としてはモズのはやにえ(捕えた昆虫などを尖った枝などに刺す習性)はよく知られています。
花咲Jは自分の習性からしても、それはモズが刺した場所を忘れてしまうとしか思っていませんでしたが、それについても諸説あるようです。
それにしても周囲を見渡せば昔からの農家の敷地に植えられた大きな樹木等がたくさんあるのに、温室横のさほど大きくない梅の木に巣を作るとは、ヒヨドリ、モズにとって、昨今はなかなかの住宅難なのかと思いました。
温室の屋根沿いに設けた人が歩ける状態の雨樋から、猫であれば容易に梅の木へ飛び移れるため、雨樋上の飛び移れそうな位置にも猫除けバリアーを設けました。
自宅にある2,3坪のガラスフレームは温室というより、無菌播種の作業場兼洗濯物干場となっています。
若干の鉢植え植物を置いてあるため、毎日のように出入りしているのですが、2,3日前からその付近に野鳥が来ています。
先日は飛び立つ鳥がヒヨドリのように見えたため、数年前の
ヒヨドリウォッチ
を思い出し、まさか・・もしや・・と思いました。
すぐ横にある数年前に巣を作り抱卵したモミジに、今年はフウランを着け、時々水かけをしているため巣を作る余地はありません。
他に鳥の身を隠すことができるものは、洗濯干し棚に絡めて伸びているつる植物の
カロライナジャスミン
しかありません。
物干し棚に絡んだカロライナジャスミンです。
小さな鉢に植えてあるのですが、根はコンクリートを入れていない土の部分に降ろしているため生長が旺盛です。
こんなに細いつるが絡まっているだけの場所に巣など作れないだろうと思って見ると、その中段ほどの位置に巣作り着工後2,3日の巣がありました。
地上約150cmの位置に作り始めた巣があります。
巣の材料はまだ少なくて、巣の中から外が透けて見える状態です。
数年前、猫に襲われたのに懲りなかったのかなー。
上の写真撮影日の翌日撮った写真です。
1日でかなりしっかりと巣作りが進んだ感じです。
巣の位置は地上約150cmで、Jの目の高さと重なり、毎日数回は鳥と目を合わさなくてはならず、ヒヨドリも迷惑ならJも困ります。
いかに野鳥の住宅難とは言え、借地のモズはさておき、ここへ巣を作られては少々生活が制約されてしまいます。
ヒヨドリにしてみればこの家の住人は昼間ほとんどおらず、それとも空き家とでも思ったのでしょうか。
いやそれともたまに見る人間はじいさんだから安全だと思ったのかも知れません。
しかし、カロライナジャスミンの下の小さなスペースは、Jがたまにプランターの植え替え等、園芸作業に使う場所であり、通行も頻繁なうえ物干し竿に布団やシーツが干せなくなるのは困ったものです。
庭木に着けた富貴蘭は過酷な条件下におかれ、すぐには枯れないものの下葉をかなり落とすかと思っていました。
庭木着けの他に、水苔植えをヘゴ着けにしたものも、その後の1年間で、主に日照との関係から下葉をふるい落とすものは多く、ヘゴに着けて1年目は要注意となります。
その1年間を乗り越えて着生物に活着すれば、その後はほぼ安泰となります。
4月13日に庭木に着けて5月27日(44日後)の状況ですが、淀ノ海は日照が多すぎたようで少し下葉を落としました。
棒カシに着けた淀ノ海です。
この位置のみ東面からの日光が当たるため、5月7日に東南面を寒冷紗で覆いました。
少々不細工ですがやむを得ません。
棒カシの枝をもう少し残しておけば良かったのですが、このくらいでも半年後にはボサボサに繁ります。
新根が伸び出していますが、樹皮に向かう根は半分あればいいほうです。
この程度伸びればヒモ等で樹皮の方へ誘引することは可能ですが、2,3本の根が張り付けば十分なため、放任しておいて支障ありません。
茶色に変色した下葉はそのうち枯れますが、下葉が枯れ上がった場合、葉のあるフウランの茎を樹皮に沿うように縛りなおせば、葉のある部分付近から出た根が樹皮に張り付くことにより株が若木と同じように再生し若返ります。
こちらも淀ノ海ですが、上写真より葉陰になる位置だったせいか新根に勢いがあります。
しかし、この株のように湿度・日照の条件が良すぎると、根先が樹皮に向かわずに奔放に空中へ向かうような気がします。
ある程度、乾燥することにより少しでも湿度を得られる樹皮へと向かうのでしょうか。
いずれもこの段階では新根に触らない方がよく、9月頃までは放任しておきます。
どうしても早く見られるようにしたい場合は、この程度伸びたら柔らかいヒモで根をそっと包むように縛ると、その後、伸長した根の何割かは樹皮に張り付く可能性があります。
シデコブシの樹冠が日よけ傘になった御城覆輪です。
樹冠との距離はもう少しあったほうが良いのですが、理想的な環境になっています。
幹が太ければ何の問題もありませんが、直径3cmに満たない細幹に果たして着くかどうか分かりません。
こんな細幹に着けられても頑張って新根を出してきました。
新根は細い根が多く、この先に出る葉は細く短いものになると予想されます。
シデコブシに着ける時には丁度新葉が展開を始めた時で、タイミングが良い時期でした。
どの株もかん水不足又は株自体の吸水障害を起こすこともなく、葉にしわが出るようなことは見られずに新根を伸ばし始めています。
屋外にあって、雨が降ったから大丈夫と思うと、降り方、風向き、雨量にもよりますが、樹木の葉が濡れてもフウランの根の隅々まで濡れていないことがあるので注意します。
しかし、かん水の過多は禁物で、水が多すぎると根を出す量が減りますし、樹皮にも張り付きにくくなります。
庭木に着けてからのかん水は、雨が止んでから3,4日後、晴天が続いたら3,4日に1回、強い風が長時間吹いた場合は2,3日に1回程度、いずれもかん水する場合は株の裏側も含めて葉、根の全体に掛けています。
今後、気温の高い日が続くようになると、掛けた水が蒸発するまでの時間が少しでも長い夕方以降の水やりが適します。
フウランの古根は整理せずに着けたため、着けてから枯れたのか元々枯れた根だったのか判然としませんが、枯れている根の量からすると、着けた後に根が大分枯れたようです。
ヒメシャラに着けた朝日殿は、上方でヒメシャラの葉が三重、四重に繁り、全くの日陰となっていますが、葉や根の枯れはほとんどありません。
活着するまでは遮光等をして、採光を弱くするのが良いようです。
全くの日陰となってしまったヒメシャラの朝日殿です。
日照不足は徒長もしますが、根を出す量が減りますので、日照の環境は水やり以上に重要に思います。
早いうちに枝葉を剪定しなければいけないと思っています。
ヘゴ着けのフウランも盛んに花芽を伸ばし、ちらほらと開花が始まっています。
強すぎず、弱すぎない芳香が、引き寄せられる虫のみならず人間をも楽しませてくれます。