2017年3月分
左は、地面に植えてある水仙が並んで花開きました。
早春の花は生きる力を形として見せてくれます。
右は、万里紅×セッコク赤花の当園交配種です。
セッコク赤花×万里紅としていましたが、正しくは上記でした。
大柄なバルブとなり、ほとんど無香ですが、樹勢強健な品種です。
戻る
トップへ
販売品コーナーへ
購入のご案内へ
送料のご案内へ
お問い合わせへ
レポートコーナーへ
2017.3.19 春二番は花
2月には春一番の暖かい南からの強風も吹き、3月も半ばを過ぎると桜の開花も気になります。
春一番の嵐をやり過ごした家の地面には、管理の手間のかからない宿根草等の植物が芽を出し、春二番を告げて花を咲かせてくれます。
2月にはガラスフレームの外はたまに雪が舞う寒さもありましたが、3月も中旬になって陽が出ていれば換気が必要になってきました。
ランを植え替える適期は3月ごろからが最も良いのですが、量が多かったりすると3月まで待ってはいられません。
当園も例年は年明け早々から植え替えを始めるのですが、今年はクリスマスローズ等の植え替えが遅れたために、やっと2月から取りかかれたという状態です。
ランの植え替えサイクルが長過ぎるのは悪いと分かっていても、他の作業が優先されてなかなか適時にやることができません。
厳寒期に植え替えできる着生ランは鉢から出して裸にしても、1週間2週間その状態で置いておけるので、途中他にやることができても融通がききます。
長日に及ぶときはたまに水をかけてやりますが、ランに特に支障はありません。
植え替えに際しては見えなかった根を見ることができ、いつの年もその状況に一喜一憂し、時にはさらなる上作を願い、植え方に工夫を凝らします。
ヘゴ着けは、ヘゴに着けてしまえば植え替えが必要ないのですが、枯れた根の整理や着けた株の向きを修整する場合もあります。
花咲Jも何十年となく植え替えの繰り返しで今に至りましたが、その割には初心の頃はよく上作していたなぁと思い起こされます。
初心の頃は知識が少なくても、育て方の心構えが違っていたのかも知れません。
植え替えをした後、思いのとおりに育ってくれたものもあれば、その反対のものもあります。
そんな一喜一憂を味わえるのも植え替えの楽しさであり、何十年経っても変わりません。
見かたを変えれば、思い通りにうまく育たないものがあるから、いつまでも冷めない園芸の熱になっているような気がします。
趣味の園芸2月号にランのC3型光合成とCAM型光合成という記事がありました。
CAM型はC3型(他にC4型もある。)と異なり、夕方以降に気孔が開いて夜間にCO2を取り込み、昼に還元する仕組みで、砂漠などの多肉植物や乾燥に耐える着生植物に多くみられる。
また、通常の植物は昼に気孔を開けてCO2を取り込むために気孔からの水分の蒸散も多いが、CAM型植物は昼に気孔を閉じて水分の損失を抑えられることから乾燥した環境に強い。(インターネット百科事典ウィキペディアより)
このため水やりは夜間が適しているとのことです。
CAM型植物はコチョウラン等(おそらくフウランも同型と思われます。)の単茎性(茎が上へ伸びていく。)で葉肉が厚く、乾燥に強いランが該当し、シンビジウム等の葉の薄いランはC3型の植物とのことで、ラン科の中に反対の性質を持つ植物があるということです。
Jはそれも知らず、他のいくつかの理由により、夏は夕方から夜間にかけて水やりをしていました。
以前、植物の水やりは夜間に気孔を閉じてしまうから、昼間ないし朝方が良いと言われており、夜にかけての水やりが多少気になっていました。
もしフウランもCAM型植物であれば、知らずにやっていた夕方の水やりが良かったことになり安心しています。
特にヘゴ着けランは水やり後の乾燥も早いため、夏季を中心にして夕方以降が適しているのではないでしょうか。
同じ着生ランでも複茎種(茎が横へ新バルブを作りながら伸びていく。)のカトレア・葉の薄いオンシジウム・デンドロビウム・マキシラリア等はどちらに分類されるのか知りたいところです。
植物は、光合成の仕組みも置かれた環境に順応させて生きてきたということだと思います。
自然は人間が考えるよりも更に複雑で奥深く、ランの適応力は人間の考えの及ばないところもありますので、光合成の型で水やり方法を変えるのも一理ありますが、そうかといって朝夕の水やりにそれほど気を使う必要もないように思います。
自宅の敷地にはほとんど手間のかからない多年草や宿根草ばかりを植えてあります。
水仙も何年前に植えたものか忘れましたが、同じ場所で生き続けています。
こちらは珍しく去年植えたクリスマスローズです。
鉢植えにしていたものが生育不良となり、地植えにしました。
鉢植えのクリスマスローズは時に機嫌を損ねるものが毎年いくつか出てしまいます。
枯れかけた1枚の葉から新芽がのぞいた時はホッとしました。(後ろの大葉は別株のもの)
柿の木の根元に植えてあるクリスマスローズは、植えてから6,7年以上経ち、手に余る巨大な葉を茂らせています。
鉢の中へ閉じ込められるより、大地へ自由に根を伸ばしたいということでしょうか。
いつものミニカトレアです。
ヘゴに着けて軽く10年は経っており、洋ランがどのくらいの寒さに耐えるのかと、自宅にある無加温ガラスフレームに持ってきて7,8年以上経ちます。
大きなフレーム内のものより葉は小さくなりましたが、枯れずに年2回ほど花を咲かせます。
今年のガラスフレーム内における氷点下の気温は例年以上に多く、0℃1日、−1℃9日、−2℃1日でしたが、頑張ってくれています。
こんなに小さくてもヘゴの表面は根で覆われてほとんど見えません。
いつものレプトテス・ユニカラーです。
こちらは年1回の開花で3月12日の写真ですが、すでに1ヶ月以上咲き続けています。
ランの茎葉とヘゴの状態からみるとヘゴに着けて15年以上だと思います。
ヘゴは元々柔らかな材質のものだったので、ヘゴを代えてやりたい状態ですがいつまでもそのままです。
去年3月にヒメシャラへ着けた富貴蘭「朝日殿」です。
ヒメシャラは年中表皮の薄皮が剥け落ちるため、着生ランには最も不向きな着生樹です。
枯れるのを覚悟で過酷な実験となりましたが、1年間持ちこたえました。
新根も張り付いていないと思われるし、この先、活着の可能性もないため近々別の庭木に着け替えの予定です。
ただ、活着もせずによく生きてきたものと感心しています。
ヒメシャラの東西と北側を外壁に囲まれ、日射しが当たるのは短時間という環境が良かったものと思います。
家の南側に植えた棒カシに着けた淀ノ海です。
棒カシは胴吹き芽が盛んなため1年に2,3回新梢を手折って剪定とするのですが、部屋が暗くなるのを避けるため枝葉はわずかしか残しません。
このため、秋以降は陽の傾きとともに日射しが1日中淀ノ海に当り、富貴蘭の中では最も弱採光(青無地物の採光加減)とすべきところが逆になっています。
葉色は黄色味を増して下葉を落とし、葉肉は痩せて薄くなり、枯れてしまいそうな状態です。
遮光ネットを張ればよいのですが、道路端のためにためらって張らずにきました。
シデコブシに着けた富貴蘭「御城覆輪」です。
こちらは落葉後に遮光ネットを張りましたが、傾いた日射しはかなり当っており、葉の緑色は枯葉色となって遠目には枯草が木に付いているようです。
モミジに着けてある富貴蘭交配種、桃姫です。
東側が住宅外壁のために日射しは若干少ないのですが西日が当たり、葉は黄色味を増しています。
庭木着けフウランはいずれもひん死の状態に見えますが、自然の中にあるフウランは冬季を仮死状態で過ごしていることを思えば、野生を呼び覚ましたという感じでしょうか。
4月に入り、新根が伸び出せば葉色も生気を取り戻してくることと思います。
それにしても去年の
花だより
に記載した着けた時の写真と比較すると、全ての庭木着けランが無残な状態というところです。