2017年7月分
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2017.7.23 失敗作のリサイクル
昨年、フウランを庭木に着生させる試みを行いました。
当地方でも個人の住宅敷地に植えられているカキやマキに着生させたフウランは時々見かけます。
しかし、庭木にカキやマキを植えてある住宅はごく一部でしかなく、はたして他の樹種に着生するものか試してみました。
樹種は自宅と温室のある借地に植えたカシ・シデコブシ・モミジ・ヒメシャラ・マツ・ウメ・ツバキです。
このうち1年後に全く活着のきざしもなかったのはヒメシャラで、その他は活着が見込めそうです。
マツは樹皮が粗くて剥がれることもあり、先入観で活着しないだろうと思っていましたが、成功したという話も聞いたことからダメで元々と試してみました。
1年近く経つと、マツへ着けたフウランの根が樹皮の割れ目に伸び始めてきました。
着けられたフウランにしてみれば好みの樹種でないものの、着けられた以上仕方ないと思ったか、意外に気に入ったものか・・。
活着の可能性が高まったところで、このマツが井戸ポンプの前にあるため、古ポンプのメンテナンスの邪魔になってしまいました。
このため、今年2月に掘り上げて自宅へ移植したのですが、マツの方が活着せずに枯れてしまいました。
伐採するしかないなかで、ほぼ活着したフウランと、今年さらに縛り付けたセッコク・富貴蘭をどう生かすか考え、上部を切り取って流木着けのフウランのようにして生かそうと思いました。
上部二分の一ほどを切り取るつもりで作業の支度をするうちに、下半分もいずれ切り取らないと庭が片付きません。
それなら地際で切り取れば1回で終わると思いノコギリを入れたものの、枯れ木とは言え内部まで乾燥していないためノコギリが進みません。
一汗かいたところでやっと、マツがまだ根づかなかったことに気付き、根ごと動かすとあっけなく抜けてきました。
根元の土を洗い落すと、根鉢部分に細根はほとんどなく、枯れたことに納得しました。
この状態で置いておければ最も楽だと思い、根鉢の下側の根をなるべく平らに切り落とすと、何とか立っているような状態です。
枝先は葉が枯れた後に切り落としてあります。
幹の曲がり具合はあまり絵になりません。
これだけ根を切りつめてしまえば移植は無理だったとしか言えません。
根際に残ったノコギリの切り跡です。
根ごと掘り出せば良かったのですが、そういう計画性はないということです。
全高約150cmと少々大きなオブジェができそうな気になってきて、さらにフウランを付け加えて派手にしようと妄想を巡らしました。
それにしてもゴテゴテとランを着けたものだと、センスのなさと欲の深さに満足しています。
マツの木、それも枯れたマツにランを着けることは全くお勧めできません。
ただ、生木や流木は表面が剥がれにくいので良いのですが、枯れたマツの樹皮が何年持つか不明です。
風雨にさらせば数年で樹皮が剥がれると思うのですが、雨のかからない所に置いて、できるだけ樹皮剥がれを延ばそうと考えています。
いずれにしても樹皮は剥がれるのですが、そうなった時はヘゴに着け替えるか他の樹木に着け替えようと思います。
今回もランにとっては気の毒ですが、失敗作をただでは捨てないどころかもったいないと思い、再利用に余計なヒマを使っています。
普段は行かない場所に植えてあるので、今年もうっかりとカキの木に着けたフウランの開花を見逃すところでした。
屋外にあるフウランは、無加温とは言えフレーム内で栽培しているフウランに比較して1箇月程度遅れて咲き出します。
上の写真株の上方へ着けてあるフウランです。
昨年庭木着けしたフウラン・富貴蘭は活着を待つ間、時々水やりしていますが、カキに着けて15年以上になるフウランは今年になって一度も水やりしていません。
真夏になるとカキの根元周囲がコンクリートのため、カキに水やりした際、フウランにも水を掛けます。
シデコブシに着けた御城覆輪です。
庭木着けの全てのフウラン・富貴蘭につぼみが上がりましたが、他の株のほとんどは少しでも根張りを優先させるため、花芽を摘んでしまいました。
御城覆輪の裏側に着けた豆葉富貴蘭の子芽1本立ちです。
おそらく青玉竜から外れたものだと思いますが、鉢植えでも子芽1本立ちの生育は難しいのに、1年間枯れずに頑張っています。
モミジに着けた桃姫です。
大株を着けたため株に余裕があり、花芽も取ってありません。
根が太く強健な性質で、ヘゴ着け等に適しています。
ヘゴ着けフウランの一つ目です。
当園では最も初期に作ったヘゴ着け(吊り下げタイプ)のフウランです。
平成5年に中古の温室を立ててくれた業者さんからいただいたヘゴ材に着けたものです。
温室を立ててしばらく後に着けたものですが、15〜20年くらい経過していると思います。
すでに枯れた茎もあったと思いますが、子株が生長して株を維持しています。
上写真と同株です。
株の全幅は約21cm、上下約27cmで、13本立ち子芽3本付きです。
他に下葉が枯れ上がり、天葉2枚になった親木が付いていますが、数年後に枯れるでしょう。
時折り親木の下葉が枯れ上がり、枯れる条もまれにありますが、子芽を複数出しているのでわずかずつでも株は大きくなっています。
ヘゴ材は端末の端材で、ヘゴの維管束(ヘゴの中空になった細い根の束)は表面の一部にあるだけです。
このヘゴ材の大部分はヘゴの中心を形成する極めて堅い木質部で、保水力はほとんどありません。
端材のため木質部の層も割れてばらばらになりそうですが、今となってはランの根がヘゴ材を補強している状況です。
ヘゴ着けの場合、ランの根は自らの草体を落下しないように保持するため、また維管束の隙間等に浸み込んだ水分を求めて、伸びながら張り付いていきますが、このように小さなヘゴでは滴り落ちる水を求めてほとんどの根がヘゴ材から離れて下方へ伸びていきます。
ヘゴ材の大きさは幅約6.5cm、厚さ約1〜1.5cm、上下約15cmで、手のひらより小さめなサイズです。
二つ目のヘゴ着け(吊り下げタイプ)フウランです。
一つ目と同様に、ヘゴ着け後、15〜20年くらい経過していると思います。
こちらのヘゴ材は一つ目のものより若干大きいために、根張りは旺盛です。
約40本立ちで、ヘゴの大きさは、幅約6〜7cm、厚さ約1.5〜4cm、上下約16cmです。
維管束は木質部表面全体(通常は全体に付いています。)に付いており、一つ目写真株より恵まれているヘゴ材です。
根張りは旺盛でヘゴ材の下端部は根が重なって張り付いています。
ヘゴ材の保水、保肥力も極めて少ないので、小さなヘゴに着けると条の数に比較して花茎は少ないです。
小さなヘゴ材に張り付いたフウランを見ていると、ヘゴ材などなくても空中で生長していけるのではないかと思います。
ヘゴ材の裏面の状況です。
上方は早く乾くためか上へ伸びる根は少なく、小さなヘゴの中でも下端部付近に密集しています。
今年あたりからヘゴ着けの株によっては根を誘引することを試みています。
今までの当園のヘゴ着けランはいずれも根の誘引は行っていません。
ヘゴからはみ出した根(主に古根)をヘゴ材に沿わせると水分保持にも若干良く、古根から再度伸び出す根がヘゴを捉えやすくなります。
しかし、根が張り付いた状況が人工的に見えるのが難点になるかと思います。
小ヘゴフウラン三羽烏の三つ目です。
ヘゴの大きさは、幅約6cm、厚さ約1.5〜3cm、上下約16cmで、株の全幅約26cm、上下約25cmです。
ヘゴ材の上部三分の一には維管束がありません。
これらのヘゴ着けは、ヘゴがあまりに小さくて販売せずに残っています。
今年の花付きはこれまでより若干多い気がします。
着生ラン・ヘゴ着けランについていろいろと考えさせてもらったような株です。
ヘゴ材は小さくて端切れ材というようなものですが、これほどに育ってくれるとは思いませんでした。
いつも同じ環境に置かれていたのが良かったのかも知れません。
定住の地を得たという感じです。
花茎が紫色濃色の赤花種です。
花弁は白色に近く、弁先に若干紅をさします。
株も大型で花茎を長く伸ばして咲きます。
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