「 3 参考品 」をリストアップいたしました。
参考品 松葉蘭「麒麟角変わり」 A
松葉蘭「麒麟角変わり」 B
古典園芸植物の松葉蘭で、園芸楽では「麒麟角変わり」としていますが、品種名・由来等がはっきりしない品種です。
もし、この松葉蘭と同じか似たものをお持ちの方、由来等の情報をお持ちの方がおられましたら、園芸楽・花咲Jに教えていただきたいと思います。
2017.4.21 追録 (最後段)
松葉蘭「麒麟角変わり」 比較栽培結果
2012.10.21 追録 (後段)
松葉蘭「麒麟角変わり」 その後の生長と比較
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松葉蘭「麒麟角変わり」
「麒麟角変わり」Aの全体の画像です。
この松葉蘭は、園芸楽・花咲Jがサラリーマンだった30年前の昭和56年12月10日、現浜松市(旧浜北市)にあるS園から7本立ちを7,000円で購入したという記録があります。
30年間作って売ることもせず、現在は4,5鉢に増えています。
当時、興味を持った松葉蘭について、30年前の記憶をたどっても全く定かでなく、園芸楽の記録によると昭和56年から61年にかけて11種類の銘品と14鉢の札落ちを購入したとあり、その中には青竜角3本立ち(12,000)、福禄寿5本立ち(15,000)などの記録があります。
購入品の記録も昭和62年以降の帳面が見当たらず、太平楽などの購入先等は記憶もなく不明です。
当地、静岡県西部地方は昔から園芸が盛んで、15年ほど前までは数か所で定期的に各種の古典園芸植物の競りを兼ねた交換会があり、古典園芸植物を専門に扱う商人の方も多数いました。
古典園芸植物を作る人達は、その頃まで趣味家・園芸農家・園芸法人など隆盛をきわめた時代もありました。
現在は専門商人も高齢化してほとんどの方が引退等しており、植物の流通もインターネットオークションなどに取って代わり、その熱気も過去のものになった感があります。
S園も代が変わり、現在は古典園芸植物を作っているのか分かりません。
当市に住む花咲Jの先輩の園芸家S氏は現在、松葉蘭を専門にかなりの鉢数を作っておられます。
S氏によりますと、麒麟角は現在3つのタイプがあり、古典の品種である本来の麒麟角と、ほかに2種類の麒麟角等の実生(自然交配実生と思われます。)によりできたとされるものが麒麟角の名前で流通しているとのことです。
また、本来の麒麟角は高さ7〜15cmの太軸で、枝別れした枝が太く短い。発根は少なく作りにくい品種である。もう1種の麒麟角(実生)と呼ばれているものは、草丈は古典品種より若干大きく、基部の軸も太軸であるが、枝別れした枝が細くて古典品種の2〜3倍の長さになる。もう1種が園芸楽にある麒麟角(実生)で、陽弱く作ると長大化し、枝別れした枝は細く長い。
古典品種以外の2種(実生)も麒麟角に似たところがあるため、30年以上前から名前は麒麟角で出回っているとのことです。
この長大化するタイプの麒麟角(実生)がたまたま園芸楽にあるということから、そのルーツというか由来を知りたいと思ったわけです。
現代に至っては、そんな昔のことを知る人もおらないのかも知れませんが、何か伝え聞いておられる方がいればと思いました。
もし情報をお持ちの方がおられましたら園芸楽へメールなりで教えていただきたいと思います。
以下、写真にて特徴などをご覧ください。
麒麟角変わりA
古典品の麒麟角は太軸で軸の長さは標準的(7〜15cm)ですが、麒麟角変わりは日照弱く作ることにより高さ20〜30cmと大きくなります。
軸の太さは写真の太い軸で直径9.0〜9.5mmあります。
麒麟角変わりA
茶色の軸は古木ですが、まだ切り取ってありません。
古木の長さは最大30cmで、緑色の軸で長いものは長さ27cmです。
軸は不規則に曲がり、各所から自由な形で枝を出します。
麒麟角変わりA
軸の紺性は非常に強く、1本1本が違った姿形に成長します。
多芸な面白さと豪快さがあります。
樹勢は強い品種です。
「麒麟角変わり」Bの全体の画像です。
鉢底の水抜き穴から新木が伸び出てしまいました。松葉蘭ではよくあることですが、さてどうやって植え換えたら良いものか。
Bの株は高さ26cmです。
麒麟角変わりB
右端の1本が古典品種の麒麟角に似た芸を現しています。
麒麟角変わりB
上写真の1本をクローズアップしたものです。
麒麟角変わりB
写真中央に見える1本は古木ですが、何とも不思議な芸を見せています。
麒麟角変わりB
株立ちの中の1本を見やすくするため白紙を差し込んで撮影したものです。
この1本の枝別れはさほど多くなく、福禄寿に似た芸を見せています。
全体としては、このタイプの軸が多く見られます。
麒麟角変わりB
上写真の枝別れ部分です。
この部分の幅は1cm以上あります。
麒麟角変わりB
タツノオトシゴのようにうねった軸も見られます。
麒麟角変わりB
新木のうちの1本です。
この先、まだ伸びていくものか分かりません。
この麒麟角の実生と言われるもののうち長大化する品種がS園で実生としてできたのか、他から仕入れたものなのか、実生として発生しやすいものなのか・・等々、S園の先代園主は既にお亡くなりになっており不明です。
この麒麟角変わりは多芸であり、1本1本の軸が多様に変化する面白さがあります。
また一方で、古典園芸植物を楽しむ日本人の好みは、どちらかというと小さいものを好むように思います。
多様な変化芸は姿が乱れるとも言えますし、固定した芸に達していないようにも取れます。
古典の銘品には及ばないかも知れませんが、作っていて楽しい松葉蘭の1種類としてご紹介いたしました。
2012.10.21 追録
松葉蘭「麒麟角変わり」 その後の生長と比較
2012年4月3日、前記にあります花咲Jの先輩の園芸家S氏が栽培していた本来の「麒麟角」と、当園にある「麒麟角変わり」を交換し、それぞれの棚において栽培条件によってどのような変化があるか試してみることにしました。
S氏は松葉蘭を冬はビニールハウス内、冬以外は屋外で昔から伝えられている典型的な方法で栽培されています。
当園は屋外で栽培することが困難なため、フウラン等を置いてあるガラス屋根フレーム内の棚下で栽培しています。
主な栽培品がランのため、松葉蘭にとっては遮光が強すぎることと、棚下は通風も屋外ほどではありません。
またS氏は麒麟角変わりが今まで遮光の強かったことを考慮し、屋外の棚へ置くのは午前中のみとして、午後は棚下へ移動するという手間のかかる管理をされていました。
以下は、4月3日から半年間経過した状態の写真です。
中央の鉢がS氏の棚から来た本来の麒麟角で、普通サイズのものです。
両側は当園にある麒麟角実生と言われているものです。
大きさが違い過ぎて松葉蘭のように見えませんが、多分に徒長して巨大化しています。
本来の麒麟角です。
手前2本が新芽で伸長しています。
置き場所は少しでも明るくと思い、ガラス屋根フレーム内にある棚の上段上に置いてあります。
当園で育ててきた結果、それでも親木より少し高く伸びています。
本来の麒麟角、左側2本が今年の新芽です。
S氏の棚で育ててきた当園株分けの麒麟角変わり(実生)です。
右手前の1本が今年の新芽です。
4月3日の状態は、新芽が1cm弱くらいでした。
古木に比較してかなり背丈が短くなっています。
麒麟角変わりの手前が新芽です。
背丈は短くなったのですが、上部から出た枝が横方向へ飛び出るように伸長しています。
芸が固定していないのか、それとも自由奔放に変化するのがこの木の個性なのか分かりません。
あまり変化しすぎるのは芳しくありません。
太軸が下方から枝別れしています。
片方(右側)の上部は短い枝が込み合って面白い芸に見えます。
右側が新芽です。
このぐらいの背丈と芸で収まってくれればいいのですが・・・。
上方から見た状況です。
右側へ飛び出た枝が姿を乱していますが、まだもう少し伸長してどうなるか見ています。
松葉蘭の園芸品種の中には青竜角のように強光線に弱いものもありますが、自然作りのようにある程度強い日光と通風が必要に思います。
麒麟角変わりが自然作りによって、味わいのある個性的な品種に育ってくれればと期待しています。
2017.4.21 追録
松葉蘭「麒麟角変わり」 比較栽培結果
2012年4月にS氏栽培の麒麟角と当園の「麒麟角変わり」とをお互いに1鉢ずつ交換して5年の年月が経ち、その後の状況を確認しました。
当園に以前からある麒麟角変わりは、現在、下写真のようになっています。
株の高さ、軸の太さは5年前とほとんど変わりはありません。
別株の大株もほとんど同様の姿形です。
昔、旧浜北市のS園で購入した時も、ほぼ同じような姿形であったと記憶しています。
購入時も名札は付いていなかったので、その場で問い合わせたと思いますが、名札は挿さないままに、それ以来ずっと品種名不明となっていました。
もし麒麟角でなければ面白いと思い、まず麒麟角であるかどうか確かめたいと思いました。
栽培環境の違いでどのような変化があるのか試してみることにしました。
かなり前から松葉蘭を専門に栽培しているS氏の栽培場は敷地内のビニールハウスであり、春〜秋は一部をハウス外の屋外棚に移動し、ハウスはビニールを取り外して栽培しています。
出来映えは極めて良く、品種の特徴を良く現した作り方をされています。
約5年前にS氏宅を訪れた際、置き場所や作り方によって姿形が変わるのであれば、当園のものとS氏の棚にある麒麟角を交換して栽培し、どうなるか見てみようということになりました。
当園にあった麒麟角変わりをS氏が栽培したものは、下写真のとおりです。
太軸の株となって高さは小さく、枝は各所で屈曲し、麒麟角の特徴を現しています。
力強く豪快な姿形となっています。
当園にあった麒麟角変わりはS氏の栽培管理により、麒麟角の特徴を現したものとなり、S氏から来た麒麟角は当園に昔からある太軸の品種不明株(麒麟角変わり)のようになりました。(下写真)
5年間植え替えもせずにあったのですが、間延びした姿形となってしまいました。
小振りな鉢内に根が回り、底穴から茎が伸びています。
何とも無残な姿形です。
比較のために麒麟角変わりを置いた場所は、フウラン等を栽培しているフレーム内です。
ガラス屋根の無加温フレーム内の比較的明るい場所を選び、4〜11月は約50〜60%遮光下であり、12〜3月は約20%の遮光をする場所です。
松葉蘭品種の福禄寿・太平楽・青竜角等は、上記よりも暗い場所に置いてあるものの、株の徒長はほとんどないのですが、玉巻竜・平和錦等は徒長して株高が増してしまいます。
株高が増しても品種の特徴を現しているものもあれば、当コーナー記載の麒麟角のように姿形が大きく変化してしまうものもあります。
この結果から栽培管理の中でも、特に置き場所の日照・通風の条件は生育に大きな影響があるということを改めて感じました。
5年近くの交換栽培により、当園にある太軸物の品種不明松葉蘭(麒麟角変わり)は麒麟角が日照と通風の不足により徒長したものであったということになりました。
植物も人間と同様に、ある程度、環境やその他の条件に順応します。
例えば、以前ツワブキの斑入り品を庭植えと鉢植えで育てました。
庭植えは順調にツワブキの普通サイズで育ったのですが、鉢に入れたものは元々小さかったとは思いますが、何年経ってもその鉢に見合ったサイズより大きくなりません。
鉢は直径9cmのプラスチック風蘭鉢で、それはそれで見映えがして観賞価値がありました。
植物の多くは身の丈に合わない過大な大きさの鉢は気に入らないようですが、過小な鉢にもある程度順応する能力があります。
また、風蘭をフレーム内で育てると、遮光・通風・施肥・温度等の管理もある程度計画的にできるため、注意しないと過保護になり、徒長等もしやすくなりますが、株は大きく育って体力があり、花もたくさん咲かすことができます。
特に交配を行うときには重要なことで、花を咲かせて結実させるために、育種の場合は大きく育てることも必要なことです。
屋外で強めの採光と十分な通風をとり、乾燥しやすい管理をしますと、株は締まった小さ目の姿となり、鑑賞上優れた姿形となります。
今回の試みで、植物は置かれた環境のそこで生きていくために、臨機応変に対応する能力を身に着けていることがよく分かりました。
今回は、違う種類の植物を、ほぼ同じ条件で栽培することの困難さを痛感した次第です。
過去そして現在の悩みでもあるのですが、最良の方法は栽培種類を絞ることですが、それが栽培すること以上に難しくて実現に至りません。
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