花咲Jの花だより

  2013年6月分

金銀羅紗




富貴蘭「金銀羅紗」実生の花です。
金銀羅紗は小型で剛直な姿となり、茎も葉も全面が縮緬地になる品種です。
花は草姿に比較して大きく、花弁や距までが縮緬地になります。
距がほぼ1回転し、天を向いて咲く個性的な花です。



               ・ 2013.6.29    着生ランの根を見て

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     2013.6.29  着生ランの根を見て

     梅雨の季節も真っ只中となっています。
     洋ランも和ランも充分な空中湿度に恵まれて、ここぞとばかりに新根を伸ばしています。
     普通の植物の根は土の中に潜っていて見ることはできません。
     自生している状態で根を露出しているものはほとんどありませんが、着生ランは惜しげもなく恥ずかしげもなく(人間の視点ですが・・)根を表面に露出しています。
     数ヶ月前に掲載された中日新聞のコラム「けさのことば」岡井隆 全文を転記いたします。
     「あはれなり魚水底(みなぞこ)の咀嚼(そしゃく)より草木(そうもく)土の空(そら)なかの食(じき) 『稽古飲食(おんじき)』高橋睦郎 魚は水の底で食物を歯でかみくだく。それも「あはれ」深いが、それよりも植物が「土」という空間において食事するさまは、一そう情感のある姿じゃないか。「植物の毛根千(せん)の舌そよぎ泥を舐(な)むるは音無かりけり」はその解説だ。人間はといえば「何物にも非(あらざ)るものとならむためあなあざと(ああ、小利口にも)ナイフ・フォークをならふ」だ。」という記事です。
     人間からみれば魚も植物もあわれな生き物なのかもしれません。
     でも海川や野山で生活している魚や植物を見ると、みな生き生きとしています。
     詩人の一節は極めて人間的な視点でありますが、それほどあわれなものかと考えさせられました。
     あわれというものを感じるようになった人間の方があわれなようにも見えます。
     人間も口から奥の消化器官は体内に納めて見えないようにしています。
     植物の根は土に中にあって汚いものと考えるのが文明人なのでしょうが、着生ランの根は植え込み材の表面や空中に出ていれば、花や葉と同様に汚れもありません。
     特に江戸時代から続く富貴蘭の趣味者間では、その根も鑑賞に値するものとして価値を認めています。
     富貴蘭も根を外見にさらすということで根を着飾ったのでしょうか。
     根の美しさと言っても新根の根先の5〜10mmにあるだけですが、花と違って長期間楽しませてくれます。

    着生ラン









    富貴蘭「朝日殿」の伸び出した根先です。
    根先約1cmの根冠は美しい赤紫色です。
    花は6月に咲き出しますが、根はその前から動きだして次に来る開花を期待させてくれます。
    永い眠りから覚めたような力強さを感じさせてくれます。


     一部の富貴蘭高級品種に見られるルビー色をした根や、他にも赤色、薄いピンク色、土色、緑色など、花の美しさや葉の変化に劣らないほどのたくましさと美しさを見せてくれます。

    着生ラン









    「駿河覆輪」の新根です。
    通常は緑色で先端部分がわずかに薄く赤茶色になる程度ですが、この株は1株でも子株に縞のある木を生む性質があり、1本の根は紫がかった赤色となっています。
    葉の柄模様で根の色まで変わる面白い芸だと思います。


    着生ラン











    「駿河覆輪」の紫がかった赤色根のアップです。
    既に白くなった海綿状組織にも赤色色素が感じられますが、伸長が終われば白くなって他の根と同様になります。




     着生ランの水苔栽培において、人の気持ちと裏腹に根が水苔の中へ伸びずに鉢の外へ伸び出すことがよくあります。
     水苔栽培でもうまく苔の中へ根が伸びていくように栽培される方もおりますが、当園の場合は植え方や鉢の置き方の違い、植え替え間隔も長いせいか、鉢外へ出ていく根が多い状況です。
     空中へ出た根は枝分かれもせずに伸びて行くのですが、隣の鉢の苔や砂植え鉢の砂に入っていくと水分等をより多く摂取しようとするのか、その中で枝分かれします。
     水のやり方が少ないと根がより伸びると言われますが、植物にとっても水が命の元ですから、安定した水のある場所を求めて伸び、また、長く伸びた根は、その長い部分で水分をより多く保持するのでしょう。
     ランの根は、中心に栄養や水分を運ぶ強度のある針金状の維管束があり、その周りを柔らかな海綿状の組織が取り巻いています。
     海綿状の部分が空気中の水分を吸収し、また表皮は吸収を助けて蒸散を防ぐ働きがあるということで、水分の貯蔵も担っています。
     重要なのは維管束であり、植え替え時季によっては柔軟性のない根がポキポキ折れますが、根の機能的に大きな支障はありません。
     途中の海綿状組織が部分的に枯れても、その先の海綿状組織から新根が伸びていくのはよく見られることです。
     ただし、根冠を折ったり傷つけると伸長はいったん止まります。
     機能的に大きな支障はないといってもむやみに折らないに越したことはありません。
     海綿状組織が適度な水分を保持していれば、それ以上の水分はランが嫌うものです。
     常時濡れている植え込み材の中にある根は、蒸れたり、冬季に熱を奪われたりして海 綿状組織を枯らして腐敗させます。
     よく見かけることですが、ランの大きさに比較して多量の植え込み材で植えられたものや、常に湿り気の多い状態で置かれているランは、根があまり伸びずに止まってしまいます。
     小さ目の鉢と、水をやってもよく乾く植え方をしたランは根が丈夫によく伸びます。
     着生ランは自然の気象条件と同じように、乾湿の差がはっきりとした生活が好きなようです。

    着生ラン

    根の裏側を写した写真ですが、根冠の元の方に白い根毛が見えます。その周りには人間の指紋のある皮膚のような紋様が見えます。
    着生ランの空中へ伸びた根は暗い方(暗い方と言っても、湿度がより高い方なのか分かりません。)へ向かう性質があります。
    この根毛がランの眼や触覚のような機能を持っているのかも知れません。
    堅いものに接触して張り付くのも、根毛が作用しているようです。

    着生ラン



    根毛は大体下側にありますが、生えるのに重力を感知するのか水の滴りを感知するのか分かりません。
    トレーなどに着生ランを置いておくと、トレーの裏側にもぴったりと張り付くことから、多様な能力を持っているのでしょう。












    リンコスティリス・ギガンティア・レッドの新根です。
    水苔植えでしたが、根腐れを起こして枯れ死しそうだったので去年秋にやむを得ずバーク・ヤシガラ・軽石混合土に植え替えました。
    新根を出して何とか危機は脱したようです。
    直径7mmもある新根はグロテスクでもありますが、力強さを見せています。


     着生ランの根を鉢の中へ納める栽培方法は、人間の考え出した技術ですが、本来は樹木や岩の表面に張り付く性質のランですから、栽培にはある程度の管理技術が必要です。
     ヘゴ等に着生させる方法はラン本来の生活態様をそのまま再現したもので、移動や置き場、展示方法等いろいろなデメリットもありますが、一つのバリエーションとして楽しめます。



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