花咲Jの花だより

  2017年5月分


左は、デンドロビウム(1花の幅約7cm上下約6cm)のヘゴ着けです。
花持ちの良い品種です。

右は、ヒオウギアヤメです。
写真は実生した株の花ですが、種を鉢の中へばら蒔きするだけでよく発芽します。
アヤメに似た葉は長さ10cm前後で、花は白地に赤い小模様の佳草です。



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     2017.5.14  実生あれこれ

     園芸店に野菜や草花の苗が出回る季節となりました。
     植物を育てることは植物の好きな人にとって大きな楽しみでありますが、園芸の楽しみのバリエーションの一つとして実生があります。
     植物も実生の繰り返しによって個々の種が現代に受け継がれて生き続けていますが、その一生は縄文杉のように数千年生きるものもあれば、1年草のように短命なものもあります。
     自ら動いて生殖活動ができない植物は、人間も考え付かないような巧妙な手段や方法で種を継続しています。
     個々の植物が持つ個性が、花や実としても楽しませてくれ、人間に興味を抱かせてくれます。
     若いころの花咲Jは園芸にほとんど関心がなく、今から40年ほど前の20代後半のころ、先輩などから盆栽のような樹木を育てることを教わりました。
     しかし、盆栽棚を設置するほど敷地の余裕もなく、サツキの品種を少し集めたくらいで終わったのですが、盆栽の本にクロマツを実生から作る方法が載っており、その作り方に興味を引かれてクロマツの実生もやってみました。
     その後、しばらくの間は鉢植えで管理していたのですが、次第にランへの興味が強くなっていつしか放任状態となり、ほとんどの鉢植えは知人にもらってもらいました。
     余ったものは処分に困って、温室を立てるために借りた土地に地植えとしました。
     鉢の中では一定以上の大きさに大きくなることはできませんが、高木であるクロマツは石ころだらけの埋め立て土の土地でぐんぐんと生長し、幹も枝も伸び放題という状況になってしまいました。
     10本ほど植えた松は、井戸ポンプの前に植えたもの(高さ約155cm、根元付近直径約11cm)がポンプの修理メンテナンスのため邪魔になってしまいました。
     初めは伐採を考えたのですが、昨年4月に木の上部へ試みに着けたフウランが予想に反して活着しつつある状況のため、移植先もないことから自宅へ植え直そうと思って今年2月中旬に移植しました。
     自宅にも植える場所がなく、30cmの幅の花壇としている場所にあるバラを移動して植えました。
     幅30cmの隙間に直径約11cmのクロマツですから、掘り上げて根を切るとほとんど根がないような状態です。
     植えてみると枝間がかなり空いているため、その幹へフウラン・セッコクを着けてみたくなりました。
     ゴテゴテとランを着けてみたのですが、肝心のクロマツが5月になって芽を伸ばすどころか、昨年、でたらめに強く剪定した結果に残っていたわずかな葉を枯らし出し、ランの活着よりクロマツの生死が先の問題という状況です。
     樹木の種を蒔く人は園芸好きな人でも少ないと思いますが、クロマツを実生したJは、その後もシデコブシ・万両・カラタチバナ等々、いろいろと気まぐれに種を蒔いています。
     ランの実生をはじめ、クロマツなど種から育てれば目的の姿形になるまで何年、何十年かかるのか分かりません。
     Jの年代では種を蒔いた人間が先に亡くなる可能性のほうが大であります。
     先に亡くなることを考えてためらっていては楽しみもないので、面白そうなことはいつでも取り掛かったほうが良いと思っています。
     亡くなる前に本人が身の回りの全てを片付けておくという方が多いのですが、未完成の、例えばクロマツ等が残っていてもさほどの迷惑にもならないと思います。
     70歳に近くなって未だに、面白そうな種を、時に蒔いています。









    実生後約35年の、伸びるに任せたクロマツです。
    以前、沖縄の方が、マツにフウランを着けていると聞き、それは無理だろうと思いつつ、昨年試みに着けると活着しそうな状況です。
    写真中央がフウランで、今年4月にその上へセッコク、フウランの下にヒメシャラから取り外した朝日殿を着けました。
    クロマツの枝ぶりは庭木となるような代物ではないのですが、種から育てた愛着があるというものでしょうか。
    フウランやセッコクの活着の前に、問題は移植したクロマツの活着です。








    昨年、4月にヒメシャラへ着けた朝日殿2株です。
    今年4月に縛っていたヒモを外したら、するりとヒメシャラの薄皮ごと剥がれました。
    庭木着けは失敗ですが、よく1年間も枯れずに着いていたと感心しました。
    新しく伸びた根にはヒメシャラの薄皮が張り付いていました。













    ヒメシャラから外した朝日殿の1株を棒カシに着けました。
    朝日殿は縞物の中でも強い採光に耐えるので、東向きのこの位置は適していると思います。
    写真左下は昨年着けた淀ノ海です。














    実生約15年のシデコブシ(直径27mm)に着けた御城覆輪です。
    冬の寒さに耐え、木に絡みついた枯草のような葉色でしたが、シデコブシの新葉が展開し、気温が上がるとともに生気を取り戻してきました。
    シデコブシの葉の間からわずかに射す木漏れ日は、最適な環境と思います。














    御城覆輪の古根の先端から新根が伸び出しています。
    少し早いのですが、縛っていたヒモ等を除去しました。
    ヒモ等は株が根元でしっかり固定されるまで取らない方が良く、何年間も着けたままであってもさほど支障ありません。
    この新根が伸びるのを見られるのも庭木着けのいいところです。







    御城覆輪の裏側(東面)に着けた淀ノ海又は青玉竜からこぼれ落ちた小木1本です。
    まだ根先に動きは見られませんが、葉色からすると枯れてはいないのでいずれ根を出すと思います。
    これも過酷な実験的試みでやってみましたが、フウランを庭木やヘゴに着けるのは1株で5,6本立ち以上の大きさのものが適しています。
    根出し本数の少ないフウランでも5,6条立っていれば、茎から出た根のうち数本が株元に近い位置で着生材に張り付く可能性が高くなります。
    大きければ株に体力の余裕もあり、株の根元で茎や根元が重なり合って水の保持にも効果的です。








    こちらは棒カシに着けた淀ノ海ですが、郵便受けのすぐ上ということもあって遮光ネットを張らずに採光過多で1年間を過ごしました。
    無地青物には非常に悪い条件で、昨年伸びた根も細く、下葉を落とした状況です。
    根先から新根が伸び出していますが、細い根から太い根が伸び出すことは少ないです。
    棒カシは1年に2,3回、幹から出る胴吹き芽をかき取る剪定を毎年繰り返すので、幹への陽当たりは良くなります。
    こういう場所は青フウラン(原種)が着けるのに適しています。
    御城覆輪と違い、こちらはまだ1,2年縛ったヒモは取り外せません。













    こちらは上写真のやや下方、別幹に着けた淀ノ海です。
    こちらも下葉を落とし、昨年出した根も少ない状況です。
    今年は棒カシの芽かきを少なくして採光を調整したいと思っています。













    アボガドの実生で、これでも10年近く生きています。
    作家いとうせこうのエッセイ「ボタニカル・ライフ」(植物生活)新潮文庫にアボガドの実生の話があり、真似をして蒔いたものです。
    あまり大きくなっては困るので何度か芯止めし、年中、外に出したままのためか、かろうじて生きている状態です。
    なお、ボタニカル・ライフを原作とする連続番組が、NHKBS放送で「植物男子ベランダー」として放送されました。














    富貴蘭×リンコスティリスの交配種、スノーダンサーが満開になりました。
    今年は天候の関係か、例年に比較すると香りの強さが若干弱く感じます。
    1花茎に10〜20輪咲きますが、概ね1花茎分が集団となり一方向を向いて咲くことが多いです。













    当園に残ったデンドロビウム・ジェンキンシーの親木です。
    強い採光や乾燥に耐え、ヘゴにも容易に活着します。
    セッコクを含めてデンドロビウムは根が細く、ヘゴ等へ着ける場合、取り扱いが容易にできます。
    根出し本数も比較的多く、遮光も30%程度(粗目の寒冷紗1枚)で良いので、これからヘゴ着け等を作ろうと考えている方にお勧めできます。





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