周りにあるランや草花などの植物が、その置かれた環境で頑張って花を咲かせた状況を、気が付いた時に写真を撮って掲載いたします。
植物にとっての開花は自らの樹勢(体力)に余裕があって咲くばかりではなく、悪い条件の中で樹勢を弱らせても咲くことがあります。
日時と内容
2018.2.17 ガラス室のレプトシス・ユニカラー
2020.8.8 マツの枯れ木着けフウランほか
フウランの親木は枯れたヘゴやコルクの樹皮に着生するのですから、マツの枯れ木に着くのも不思議ではありません。 2016年4月にモミジの細幹に着けた薄ピンク色花風蘭です。(2020年7月8日撮影)
2021.8.8 一寸法師豆葉富貴蘭の花 ほか
2016年4月に自宅に植えてあるシデコブシに着けた御城覆輪の2019年4月8日の状況です。(2016年4月の状況はこちらからどうぞ)
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開花は、新芽や新葉を展開することと同様に、子孫を残すことも含めた生育のシステムに組み込まれたものですが、種類によってはなかなか花を咲かせない植物もあります。
開花は繁殖の一条件ですが、個々の繁殖率の違いが自然界のバランスを保つ結果となっています。
ランの開花率(花付き)は品種等によって異なりますが、その株の樹勢による影響が大きいと思いますし、温度や光・水・肥料によっても左右されます。
栽培していて目にしたのは、常緑の小低木であるカラタチバナの樹高約15cmほどの小さな株が身に余る花を咲かせ、結実率は100%に近いために細幹がたわむほどの実を付けたあげく、そのままにしておいて枯れるということもありました。
それとは別に、植物が枯れそうになると、子孫を残すために開花結実するということも聞きます。
ランのような虫媒花では受粉もなかなか十分にはできず、それをカバーするためにも花付きをよくする必要があるのでしょう。
いろいろな思惑もあって咲く花ですが、人間にとって楽しみなことは確かです。
(1)2018.2.17 ガラス室のレプトシス・ユニカラー
(2)2020.8.8 マツの枯れ木着けフウランほか
(3)2021.8.8 一寸法師豆葉富貴蘭の花 ほか
当宅の無加温ガラス室に置いてあるヘゴ着けのレプトシス・ユニカラー(ブラジル原産)は、加温もされず低温に耐えていましたが、例年のように花を咲かせています。(2月3日撮影)
今冬は各地で大雪の被害が発生し、農作物も大きな影響を受けました。
比較的温暖な当地でも低温日数が多く、厳しい冬となりました。
2月9日の様子です。
ガラス室の1月10日〜2月14日まで35日間の最低温度です。
最低温度 記録日数 マイナス3℃ 1日 〃 2℃ 4日 〃1.5℃ 1日 〃 1℃ 8日 〃0.5℃ 1日 0℃ 3日 合 計 18日
35日間のうち半分が0℃以下となり、当地では例年の2倍くらいの低温日数となりました。
1ヶ月以上咲き続けているレプトシス・ユニカラーの2月17日の様子で、一部の花が終わりかけています。
隣のミニカトレアは例年レプトシス・ユニカラーと歩を合わせて開花しますが、今冬はそれどころではなかったようです。
栽培場の無加温温室では、今まであまり被害のなかったクンシランが相当数冷害を受けました。
クンシランに比較してランは、障害が発生しても外見に現れるのに長日かかるため気になるところです。
2017年7月の花だよりでご紹介したマツの枯れ木着けのフウランです。(2020年6月20日撮影)
マツの移植後に枯れてしまったマツの幹を利用して着くかどうか試してみました。
今までマツにフウランが着生していたということを聞いたこともありませんし、書物で見たこともありませんでしたが、マツに着けたということは他の方から一度だけ聞いたことがあります。
自分でも樹皮の粗さが大き過ぎ、マツ独特の油分を含んだ樹液、枯れた薄い皮層の重なってできる樹皮の厚過ぎる状態などからランの着生樹には向かないと思っていました。
流木等の枯れ木と違い、樹皮のある枯れ木にランを着けても、木が朽ちれば樹皮は剥がれてしまいます。
当園で委託販売しているお店で、ランの着生状況を見ていただくために、展示用として作った椎茸栽培の原木(樹皮付き)に使われるナラに着けたフウランは、樹皮の適度な荒れ模様から枯れ木と言えども予想どおりに着生しました。
マツの枯れ木に着けて3年後の今年は、新根も着生しています。
結果としてフウランの親木はマツにも着生することが分かりましたが、フウランの種子が自然の中でマツに付着して、発芽し、生長するということは困難かと思います。
また、着生後の生長の具合は、着生物によって差が生じます。
フウランを栽培していると、金属やプラスチックにも貼り付くことから、着生ランの根は草体を着生物に固定するため、こちらが考えるほど相手を選ばないと言えます。
よく見ると表面の薄皮の隙間に潜入した根は、白いスポンジ状のベラーメン層が膨張して押し広げているようにも見えます。
この枯れ木着けは長さもあるため置き場所もなく、小フレーム内の北壁面に沿った西側に置いたため、側面の遮光もなく西日を受けて葉の黄色味が強く出ています。
水やりは7日に1度ですが、内壁面沿いのために乾燥しにくかったとも思われます。
こちらは移植後に枯れてしまった上記マツの代替えに用意したもので、枯れ木のマツに着けた1年後(2018年)にフウランを着けました。
このマツの木の植わっている場所も良いとは言えず、温室フレームの西側外壁に沿った西側にあります。
着けてからの1年間は遮光ネットで覆っていたのですが、外してしまったため、直射日光が当たって樹勢が落ちています。
着けた当時の株より一回りか二回り小さくなった気がします。
葉は黄色味が強く、枯れた茎が2本あり、根も枯れて針金状になっています。
茎と茎及び茎と樹皮の間には、フウランの枯れた部分やごみが堆積して詰まっているため、清掃を行い、木に取り付けた際のビニール被覆針金を除去することにしました。
ごみや枯れた根を除去すると新根はほとんどなく、浮いてしまった株元を再度マツの幹に沿わせるためにビニール被覆針金で縛りなおしました。
フウランの根はごみの中へは入ろうとしないので、堆積したごみは除去します。
長い梅雨による著しい日照不足から、梅雨明けとともに日差しが急に強くなるため、遮光率50%の遮光ネットを掛けました。
アルミ針金でネットを縫い、枝に巻き付けて止めれば完成です。
この状態は見よくありませんが、徐々に明るいネットにして取り外すか、上にあるマツの枝を茂らせるようにしたいと思います。
このマツも今年の寒い時期に移植したいと思い、根切りは済ませてあるのですが、時機を失してそのままの状態です。
採光が強すぎたためフウランの葉が極端に小さくなった例です。
セッコク交配種とともに着け、5,6年前から冬以外を屋外栽培としたヘゴ着けです。
3月末〜12月まで屋外で30%の遮光率下に置きますが、時には直射日光も当たります。
ここまで矮小化すると花は咲かず、このままでは枯れる恐れもあります。
フウランにとって遮光は重要と言えます。
遮光が強すぎては徒長しますし、反対に弱すぎては最悪の場合、瀕死の状態になります。
最適な遮光は、ランの育ち具合を観察して、文献や経験から判断することになります。
2018年9月30日の台風24号による塩害で台風通過後、モミジが全て落葉し、その後再度芽吹いて新葉が展開を終えた頃の秋遅くに二回目の落葉となりました。
モミジの落葉によって、強い採光とともに塩害を受け、二回りほど小さくなった気がします。
それでも今年も花を咲かせました。
当園で最も最初にヘゴ着けしたフウランです。
20年以上前にヘゴに着けたと思いますが、特別に管理したわけではなく、偶然残っていたという状況です。
以前は1株のものをヘゴに着けるようにしていましたが、20年ほど経っても20本立ち子芽9本付きという状況です。
枯れた茎が3本残っており、株の中で世代交代をしたものと思います。
当時ヘゴ着けしたもので販売せずに残っているものが2,3品あります。
長年月の時を経て、株に比較してヘゴが小さ過ぎる状況になっています。
当園の環境に慣れてしまっているために小さ過ぎるヘゴでも現況を保てているのか分かりませんが、温室の片隅に吊り下げられています。
今となってはランの大きさに似合わないヘゴに着いていますが、これという問題もなく育っています。
根は一旦ヘゴを捉えても、ヘゴの面積が足りず、すぐに下方の空中へと伸びています。
見方によってはランが空中にあるのとほとんど変わりありません。
ヘゴは25年ほど前に譲っていただいたものですが、ヘゴ材の大きさは幅約6cm、上下約16.5cm、厚さ1.5〜3.5cmという端材です。
その当時もヘゴ材はしっかりしたものではなかった可能性がありますが、現在は表面の維管束部分と芯に当たる木部とが剥離しかけており、ランの根により分離を逃れているような状況です。
ヘゴ材の上部は維管束の厚みがなくて木部が露出しており、木部と木部の層も剥がれんばかりの状況ですが、ランの根が全体を包み込むように分離を防いでいるように見えます。
商品として販売することを見合わせているヘゴ着けフウランですが、与えられた環境で頑張っているように見えます。
シデコブシは、2018年の台風24号による塩害で葉が枯れ落ち、丁度良い遮光になっていた南側上部の枝が枯れてしまいました。
そのままにしておいたため、直射日光が当たり、葉が薄茶色に変色しています。
着けた当時の長い葉が1,2枚残っているものの、その後に出た葉は時として厳しい自然環境の中、二分の一から三分の一の長さです。
5月から日差しも強くなるため、株の上方に50%遮光率のネットを被せました。
遮光ネットの効果が出て葉色は緑色となり、花も多数咲かせました。
健在だったことを確認できて一安心です。
風蘭・富貴蘭の栽培のポイントは、水やり・肥料・通気・鉢の選定・植え方等、いろいろありますが、大きな影響があるのは遮光ではないかと思います。
ただし、品種や育ち具合、株の樹勢等により、このランには何十%の遮光が良いと一概には言えないところもあり、適正だったかどうか、結果が分かるまで年月がかかるのも困難さを増しています。
御城覆輪の裏側(東南側)に着けた豆葉(淀ノ海又は青玉竜です。)にも初めて花(3花)が付きました。
花の大きさは成株とほとんど同じなため、小学校1年生が体つきに合わない大きなランドセルを背負う以上の違和感です。
豆葉の全幅は約4.2cm、高さ約2.5cmで、背丈一寸に満たない小株1本立ちです。
このサイズであれば、新根は1年に1本出すのが限度ですが、何とか幹にしがみついているようです。
どうだいこれでも一人前だと言わんばかりに咲いています。
2019年7月の状況はこちらからどうぞ
こちらはデンドロビウム・ジェンキンシーの花です。
当園に残った最後のヘゴ着け株です。
ヘゴ着けにしたのは15年以上前だと思います。
株のバルブはヘゴを1,2周しています。
度々、本ホームページに登場しているミニカトレアのヘゴ着けです。
屋根の高い栽培用ガラスフレーム(無加温でも氷点下はほとんどありません。)と違い、自宅敷地の狭いガラスフレーム内にあって、2018年の冬にフレーム内最低気温ー3℃記録1日、ー2℃記録4日の寒波に遭い、多くの古バルブ・葉を枯らしてしまいました。
全体が枯れることも覚悟しましたが何とか踏みとどまり、今年も1花を咲かせました。
開花から日にちが経ち花弁に傷がついています。
ヘゴ着けの富貴蘭獅子甲龍の花です。
花が咲くことはまれですが、ヘゴ着けでは開花することが多くあり、花弁は細く変化し、距が極めて細く自在に曲がりくねる変化花です。
花は1花1花に変化が見られます。
この株の花は距が短いですが、長い距を持つ花もあります。
この品種は細葉の割りに根が太く、ヘゴ着けにしやすい品種です。
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