2016年6月分
左写真はフウランとともにヘゴに着けたミディカトレアですが、タイミングよく開花時期が重なりました。
右写真はホヤ(別名サクララン)の花で、開花すると手まり状に球形となります。
面白いのは花が散った後の花梗に再度花が咲くことで、写真の花は4月頃に咲き終わった花梗に今年2度目の花が咲きました。
花には滴り落ちるほどの甘い蜜を出しますが、不思議と昆虫はあまりやってきません。
・ 2016.6.22 匂い花フウラン
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2016.6.22 匂い花フウラン
梅雨空とともにフウランの花が匂う季節となりました。
栽培技術の進んだ現代と違い、古の人々は山野に咲くフウランを見て何を感じたのでしょう。
戦いのないつかの間のひと時も、小さな花など愛でる余裕はなかったと思いますが、樹木の高い位置に着生するフウランに果たして気付いたものかどうか。
手の届かないような位置に着生するフウランを取り外して手に取った人もいるはずです。
江戸時代以前は、着生ランの栽培方法など言うに及ばず、草木を植えるための植木鉢そのものさえ開発されていませんでした。
花咲Jが思うには、そんな時代でも山野に咲く草花を持ち帰って自分の家で育てるには、フウランの自生状態を見て庭木に着けてみようと考える人がいたと思います。
しかし、そんな人がいて実行したとしても、当時の世に広まることはなかったと思います。
もし、日本のどこかの庭園、旧家の古木に百年単位を超すフウランの大株がないものでしょうか。
そういうことを思っていたところ、先日掛川市にある加茂花菖蒲園にハナショウブを見物に行った際、その旧家の母屋の庭に植えられたマキにフウランが鈴なりに着いていました。
花菖蒲園内にある旧家は桃山時代からの庄屋で、公開されている母屋は築230年だそうです。
マキの木の直径はさほど太くありませんが、上方へ伸び放題のような感じで、庭からは全体像がつかめないくらいにかなりの高さがありました。
縁側から見える範囲にもざっと20〜30株のフウランがありましたが、株は大きいものでも30本立ち程度に見えました。
そこで驚いたのはマキの枝先で、枝の太さ1cm程度の細枝に5〜10本立ちの株がたくさん着いていたことです。
決して自然実生ではないと思いましたが、既に活着しているという感じでした。
後日、写真掲載の許可の件でお電話したところ、係の人は誰がマキの木に着けたかは分からないということでした。
話は横にそれましたが、花だよりの下書きに旧家の古木に着けたフウランのことを想像して書いた直後、偶然、出かけた先でそんな光景に巡り合いました。
古木のフウランを想像したことも忘れ、家に帰って来てから花だよりに書いたことに気が付くという有様でした。
庄屋屋敷の母屋の中庭に植えられているマキの木に着生したフウランです。
中庭に降りて近づくことはできなかったので、花芽の有無等は確認できませんでした。
人が見られる位置にたくさん着けられています。
庭木着けの話に戻りますが、現代の溢れる情報の中、フウランの生態の解明や栽培技術の開発が進んだ今、あえてJは年寄りらしく、原始的なフウランの庭木着けに挑戦しています。
そういうとオーバーですが、着生ランの庭木着けなどは、いつの時代にも誰でも考えそうなことです。
単に山に自生している状況を住家に移すだけのことです。
フウランが冷涼な高地山岳にしか自生していないとすれば、低地の住家に移すのは困難と思いますが、フウランは幸いに寒さ暑さによく耐える植物です。
高木に張り付いているフウランらしく、停滞した空気(蒸れ)は苦手のようですが、当園ビニールハウス内はかなりの高温になります。
その時季は大型換気扇と室内撹拌扇が作動しますが、高温による生育障害は発生していません。
今春は夏用の寒冷紗を4月末に例年より1週間ほど早く降ろしたのですが、フウランの葉に紅斑が強く出現しました。
ガラスフレーム内にある富貴蘭「垂崖」(すいがい)のヘゴ着けです。
今年4月27日に撮影した写真ですが、かなり濃色の紅斑が出ています。
上写真「垂崖」の約2ヶ月後の写真です。
花が咲いて紅斑は消えつつある状況です。
ひどい株はほぼ全ての葉の表裏に暗赤紫色(小豆色)の紅斑(小豆斑)が現れ、夏までに消えるかどうかも心配なほどです。
晩秋から春にかけて採光が多いと出る小豆斑(アントシアニン色素による紅色斑で葉焼けとは異なります。)は、春以降に夏向きの遮光とすることにより、夏ごろには普通の葉に戻ります。
品種により紅斑が出やすいものと、そうでないものがあります。
アントシアニン色素は植物が秋に紅葉する際に作用する色素だと聞いたこともあります。
また、遮光率を上げていかなくても紅斑は減っていくことから、植物体内の光合成等の生長活動が春から活発になることで自然に消滅するように思います。
今年に限って冬の日照が多かったのか、紫外線が特に強かったのか、それともランの株に生理的な原因があったのかは分かりません。
紅斑は別棟の温室でも同様に現れたので、オゾン層の減少も含めて今年の気候によるものではないかと思われます。
6月6日撮影の写真です。
親鳥が抱えきれずに羽の下から頭を出しているモズのヒナです。
温室横の梅の木に巣作り(
花だより5月分
)したモズのヒナがかえりましたが、この写真を撮影した4日後に親とともにいなくなりました。
温室周りには猫が数匹と、去年あたりからイタチ(始めはリスと思いました。)2,3匹をよく見かけましたが、巣は壊されてなく鳥の残骸もありませんでした。
空の巣の中を確認した時はかなりのショックでした。
こちらは自宅の物干し台に絡めたカロライナジャスミンに巣作りした(
ヒヨドリ
)の卵です。
6月4日に3個産んであるのが確認できました。
物干し台に面した部屋の掃出し窓からのぞいたヒヨドリの親がヒナを抱く姿です。(6月22日撮影)
窓との距離は40〜50cmなので、カーテンをカメラ分だけそっと押し広げて撮影しました。
抱卵中もそうでしたが、なぜかヒヨドリはいつも外壁(その横が掃出し窓)の方を向いて座っており、外敵が通る通路側にお尻を向けています。
昼間に人が近づくと外壁沿いの方向へ飛び立つことから、避難を考えてのことかと思っています。
ウィキペディアによりますと、ヒヨドリは産卵から孵化まで12〜14日とのことでしたが、6月22日、親鳥がいない時にヒナを撮影しました。
モズに比較すると体は大きく、羽毛も生えそろっているように見えます。
生まれたばかりで目は閉じており、撮影中も動きはありませんでした。
4年前のヒヨドリ
、今年のモズと連続して外敵に襲われ、せめてこのヒヨドリは巣立ちまで見守りたいと思い、猫バリアーを設置してあります。
つる植物の中段にも設けましたが、巣立ち(10〜11日間とのこと)まで、猫に見つからなければいいのですが。
度々登場の自宅にある柿の木に着生させたフウランです。
今年も多数の花芽を出していますが、この時季は温室作業が忙しく、例年は花の開花に気付かない時が多いです。
水やりは今年になって1,2度やったかどうかという放任状態です。
こちらは今年、庭木に着けたフウラン・富貴蘭で、毎日のように観察し、水も度々やっています。
活着するかどうかが花咲Jにとって大きな問題で、失敗は許されません。
(富貴蘭の細枝着けまでは記載してありませんが、委託販売の売店で庭木着け風蘭のミニパンフレットまで作ってお持ち帰りできるようにしたいきさつがあります。)
この写真は玄関横の棒カシに着けた「淀ノ海」です。
新根が伸び出していますが、枯れた根も多く、下葉を落とした木もあり、半分はヒヤヒヤしています。
棒カシに着けた「青玉竜」(せいぎょくりゅう)です。
水苔植えのものを着けても、既に花芽を形成しており、ほとんどのものは花を咲かせますが、少しでも根の生長を促す意味では花芽が小さなうちにかきとる方が良いです。
シデコブシに着けた御城覆輪も花芽を伸ばしましたが、こちらは花芽を折り取りました。
棒カシに比較してシデコブシ上部の葉が具合良くこんもりと繁り、遮光加減が良いのか、下葉・古根ともに比較的枯れずに残っています。
これも気になる株の一つで、御城覆輪の裏側に着けた淀ノ海か青玉竜から離れ落ちた1本立ち4枚葉の小株です。
水苔をほぐす際に外れたものと思いますが、庭木着け作業の最後に見つけ、自宅に持ってきてしまったため、ついでにと思い単独で縛ってあります。
今年2月13日〜19日の間、東京ドームにおいて開催された世界らん展日本大賞2016に出展したヘゴ着け富貴蘭
「駿河覆輪」
に花が咲きました。
上写真と同様に出展したヘゴ着け富貴蘭
「東海」
の花です。
全ての出展品の開花状況を撮影できれば良かったのですが、委託販売売店に展示させていただいたものもあり、写真撮影は出展品の半分程度でした。
今後、
ヘゴ着けランコーナー
の
ヘゴ着けラン ミニ写真集
へ掲載いたします。